問15 2013年1月実技中小事業主資産相談業務
問15 問題文
現在X社は,土地保有特定会社に該当している。X社の株式評価額の引下げ対策に関する次の(1)〜(3)の記述について,適切なものには○印を,不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。なお,(2)および(3)において,X社の会社規模は変わらないものとする。
(1) X社には,業務の一部を外部に委託し,従業員数を削減する計画がある。従業員数の削減により会社規模が中会社となる場合,この計画には株式評価額の引下げ効果がある。
(2) X社には,駐車場として利用しているX社保有の土地に賃貸ビルを建築する計画がある。建築後の土地保有割合が68%となる場合,この計画には株式評価額の引下げ効果がある。
(3) X社には,X社保有の土地の現物出資により子会社を設立する計画がある。子会社の設立後の土地保有割合が65%・株式保有割合が27%となる場合,類似業種比準価額により評価することができる。
問15 解答・解説
株式評価額の引下げ対策に関する問題です。
(1) は、○。非上場株式を評価する際、土地保有特定会社になると、純資産価額方式での評価となりますが、土地保有特定会社の判定基準は従業員数によるため、従業員数削減により会社規模が中会社となると、X社は土地保有特定会社からはずれる(中会社が土地保有特定会社になる基準は、総資産に対する土地保有割合90%以上)ため、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式で評価できることになります。
類似業種比準方式や併用方式の場合、算定に用いる類似業種の株価が低めに設定されているため、従業員数の削減は株式評価額の引下げ効果があるといえます。
(2) は、○。土地保有特定会社の判定基準は、大会社の場合は総資産に対する土地保有割合70%以上のため、賃貸ビルの建築により土地保有割合が下がり、土地保有特定会社からはずれると、大会社は類似業種比準方式で評価できることになります。
類似業種比準方式や併用方式の場合、算定に用いる類似業種の株価が低めに設定されているため、賃貸ビルの建築は株式評価額の引下げ効果があるといえます。
(3) は、×。土地の現物出資により子会社を設立すると、貸借対照表上では土地は子会社株式になるため、親会社の総資産に対する土地保有割合が下がり、土地保有特定会社からはずすことができます。
しかし、会社の総資産価額に占める株式保有割合(相続税評価額ベース)が一定割合以上の場合、株式保有特定会社とされ、原則として純資産価額方式により評価されます。
大会社の場合、株式保有特定会社になる基準は、総資産に対する株式保有割合25%以上ですので、27%になってしまうX社は、純資産価額方式で評価されます。
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