問11 2023年9月実技損保顧客資産相談業務
問11 問題文
Aさんの2023年分の所得金額について、次の(1)、(2)を求め、解答用紙に記入しなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は万円単位とすること。
(1)総所得金額に算入される一時所得の金額
(2)総所得金額
<資料>給与所得控除額
問11 解答・解説
一時所得・総所得金額に関する問題です。
総所得金額は、大雑把に言うと、総合課税の所得を合計し、損益通算した後の金額です。
本問では、給与所得と不動産所得、一時所得(一時払終身保険の解約返戻金)は総合課税の対象です。
※一時払の養老保険や個人年金保険・変額個人年金などを契約から5年以内に解約(満期による契約満了含む)した場合、金融類似商品として受取差益に20.315%の源泉分離課税となります(復興特別所得税を含む)。
ただし、金融類似商品の対象条件の一つとして、死亡保険金額が満期保険金額の一定倍率以下とされていますので、満期のない終身保険は該当しません。
本問の場合、養老保険は契約から5年超であり、一時払終身保険は5年以内に解約ですが、いずれも解約返戻金は一時所得の収入金額として総合課税の対象です。
まず、給与所得=給与収入−給与所得控除で、Aさんの給与収入は700万円ですから、
給与所得=700万円−(700万円×10%+110万円)=520万円
次に、不動産所得=不動産収入−必要経費 ですが、不動産・事業・山林・譲渡所得の損失は、給与所得や一時所得等の他の所得と損益通算できます。
ただし、不動産所得の損失のうち、土地取得に要した負債の利子相当部分は、他の所得と損益通算できません(建物取得用なら損益通算可)。
つまり、借金して土地を購入した場合、その年は収入より支出が上回って不動産所得が損失となっても、借金の利子分は損益通算の対象外ということです。
本問の場合は土地取得用の利子は無いため、損失額は全額が損益通算の対象です。
よって、不動産所得=▲60万円
また、一時所得=収入額−収入を得るために支出した額−特別控除50万円 ですので、
一時所得=(500万円+970万円)−(400万円+1,000万円)−特別控除50万円
=20万円
さらに、一時所得は、総所得金額を算出する際に、その2分の1が合算対象ですから、本問の場合、
総所得金額に算入される一時所得=20万円×1/2=10万円
よって、Aさんの総所得金額=給与所得+不動産所得+一時所得(1/2後)
=520万円+▲60万円+10万円=470万円
以上により正解は、(1) 10(万円) (2)470(万円)
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