問9 2023年9月実技生保顧客資産相談業務
問9 問題文
Mさんは、Aさんに対して、<資料2>の定期保険について説明した。Mさんが説明した次の記述(1)〜(4)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
(1)「当該生命保険の単純返戻率(解約返戻金額÷払込保険料累計額)は、保険期間の途中でピークを迎え、その後は低下し、保険期間満了時には0(ゼロ)になります。当該生命保険の解約返戻金は、役員退職金の原資や設備投資等の事業資金として活用することができます」
(2)「当該生命保険の場合、保険期間開始日から保険期間の4割に相当する期間を経過する日までは、当期分支払保険料の6割相当額を前払保険料として資産に計上し、残額は損金の額に算入します」
(3)「当該生命保険を長男Bさんの勇退時に払済終身保険に変更した場合、契約は継続しているため、経理処理の必要はありません」
(4)「保険期間中にX社に緊急の資金需要が発生し、契約者貸付制度を利用する場合、当該制度により借り入れることができる金額は、利用時点での既払込保険料相当額が限度となります」
問9 解答・解説
法人の生命保険の経理処理に関する問題です。
(1)は、○。定期保険を解約する場合、保険期間の一定時点が最も高い返戻率(解約返戻金額÷払込保険料累計額)となりますが、その後減少し、保険期間満了時は0(ゼロ)となります(満期保険金も無し)。
また、定期保険の死亡保険金や解約返戻金は、役員退職金の原資や設備投資等の企業の事業資金として活用できます。
(2)は、○。定期保険と第三分野の保険における、最高解約返戻率が50%超となる保険商品について、最高解約返戻率に応じて3段階の損金算入規制(最高解約返戻率50%超70%以下、70%超85%以下、85%超)があります(生命保険は2019年7月8日以降、第三分野の保険は2019年10月8日以降の契約が対象)。
このうち、最高解約返戻率70%超85%以下の保険商品では、原則として、支払保険料の資産計上期間は、保険期間における開始日から100分の40経過日(前半4割)まで、資産計上額は、当期に支払った保険料の100分の60(60%)とし、残額を損金算入します。また、資産計上期間終了後は、支払った保険料を期間の経過に応じて損金算入します。
本問の無配当定期保険は最高解約返戻率83%ですので、保険期間の前半4割まではしhらった保険料の6割を資産計上し、残額を損金算入することになります。
(3)は、×。定期保険を払済終身保険へ変更する場合、解約返戻金相当額は保険料積立金として資産計上し、変更時点での資産計上額については前払保険料として資産計上します。また、変更時点の資産計上額と解約返戻金相当額との差額については、雑収入(または雑損失)として計上します。
(4)は、×。法人に急な資金需要が発生した場合には、契約者貸付制度により解約返戻金の最大90%まで融資を受けることが可能です。また、法人が契約者貸付金を受け取った際は、借入金として負債に計上します。
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