問11 2021年9月実技中小事業主資産相談業務
問11 問題文
甲土地上に耐火建築物を建築する場合における次の(1)、(2)を求めなさい(計算過程の記載は不要)。
(1)建蔽率の上限となる建築面積
(2)容積率の上限となる延べ面積
問11 解答・解説
建築面積と延べ面積の上限に関する問題です。
防火規制がそれぞれ異なる土地にまたがっている場合、もっとも厳しい規制が課されますので、本問の場合はすべて防火地域扱いとなります。
防火地域で耐火建築物を建築する場合、10%の建ぺい率緩和を受けることができるため、準住居地域部分で適用される建ぺい率は、指定60%+緩和分10%=70%となります。
また、指定建ぺい率が80%の地域でかつ防火地域内に耐火建築物を建てる場合は、建ぺい率の制限がありません(建ぺい率100%)ので、近隣商業地域部分で適用される建ぺい率は、100%となります。
また、「建築基準法第42条第2項により特定行政庁の指定を受けた道路」とは、都市計画区域にある幅4m未満の道で、建築基準法上の道路とみなしているもの(2項道路)です。
2項道路の中心線から2m後退した線が、道路との境界線とみなされるため、みなし道路境界線と道までの部分(セットバック部分)は、容積率や建ぺい率の計算の際、敷地面積に算入されません(反対側がガケ地や川等のその方向に後退できない場合は、境界線から4m後退)。
本問の場合、幅員3mですから、セットバックした場合の後退距離は、
(3m−2m)÷2=0.5m
ここで、建築物の敷地が、建ぺい率の異なる2つ以上の地域にわたる場合、敷地全体の最大建築面積は、「各地域の面積×各建ぺい率」の合計となります。
準住居地域部分建築面積上限=(300u−後退距離0.5m×間口20m)×(60%+10%)=203u
近隣商業地域部分建築面積上限=200u×100%=200u
よって、対象地の建築面積上限=203u+200u=403u
また、延べ面積の上限=土地面積×その土地の容積率 ですが、建ぺい率同様、建築物の敷地が、容積率の異なる2つ以上の地域にわたる場合、敷地全体の延べ面積の上限は、「各地域の面積×各容積率」の合計となります。
ただし、容積率は、前面道路の幅が12m未満の場合に、用途地域によって制限されます。
計算式は、
住居系用途地域の場合……前面道路幅×4/10
その他の用途地域の場合…前面道路幅×6/10
この計算式結果と指定容積率を比べて、小さいほうが容積率の上限です。
問題文では道路が3mと6mの2つありますが、このような場合は広いほうの道路幅を前面道路とすることができます。
よって容積率の計算は、
準住居地域部分 :6m×4/10=240% < 指定容積率300%。よって準住居地域部分の容積率は240%。
近隣商業地域部分:6m×6/10=360% < 指定容積率400%。よって近隣商業地域部分の容積率は360%。
延べ面積の上限=土地面積×その土地の容積率 ですが、 建ぺい率同様に、セットバック部分は敷地面積に算入されません。
よって、それぞれの延べ面積の上限は、
準住居地域部分延べ面積上限=(300u−後退距離0.5m×間口20m)×240%=696u
近隣商業地域部分延べ面積上限=200u×360%=720u
対象地の延べ面積上限=696u+720u=1,416u
以上により正解は、(1)403(u) (2)1,416(u)
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