問5 2019年9月実技中小事業主資産相談業務
問5 問題文
Mさんは、Aさんに対して、株式の投資指標について説明した。《設例》の〈X社およびY社の財務データ等〉に基づき、Mさんが説明した次の記述(1)〜(3)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。なお、計算にあたっては、表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。
(1)「 X社株式とY社株式を、株式の代表的な指標であるPERとPBRで比較すると、いずれもX社株式のほうが低いため、Y社株式よりもX社株式のほうが相対的に割安であるといえます」
(2)「X社とY社を、配当金額から企業を評価する代表的な指標である配当性向と配当利回りで比較すると、いずれもX社のほうが高いため、Y社よりもX社のほうが相対的に株主への利益還元が高いといえます」
(3)「サスティナブル成長率は、企業の今後の成長率を予測する際に用いられる指標であり、X社のサスティナブル成長率は7.20%と算出されます」
問5 解答・解説
株式の投資指標に関する問題です。
(1)は、×。PER(株価収益率)とは、現在の株価が1株当たりの当期純利益の何倍かを示すものです。
PER=株価/1株当たり当期純利益=株価/(当期純利益/発行済株式総数)
X社のPER=2,850円÷(2,400億円/10億株)=11.875→11.88倍
Y社のPER=2,900円÷(740億円/2億株)=7.837…→7.84倍
また、PBR(株価純資産倍率)とは、現在の株価が1株当たりの純資産の何倍かを示すものです。
PBR(株価純資産倍率)=株価/1株当たり純資産額
=株価/(自己資本/発行済株式総数)
X社のPBR=2,850円÷(20,000億円/10億株)=1.425→1.43倍
Y社のPBR=2,900円÷(5,400億円/2億株)=1.074…→1.07倍
PER・PBRいずれも、その値が低いほど割安とされますので、X社株式はY社株式と比べると、PER・PBRいずれも割高と判断されます。
(2)は、×。配当性向とは、当期純利益に対する配当金が占める割合のことです。
配当性向=1株当たり年配当金額÷1株当たり当期純利益×100
=配当金支払総額÷当期純利益×100
X社の配当性向=960億円/2,400億円×100=40%
Y社の配当性向=220億円/740億円×100=29.729…→29.73%
また、配当利回りは、株価に対する1株当たり年間配当金の割合のことです。
配当利回り=1株当たり年間配当金/株価×100
=(年配当金/発行済株式総数)/株価×100
X社の配当利回り=(960億円/10億株)/2,850円×100=3.368…→3.37%
Y社の配当利回り=(220億円/2億株)/2,900円×100=3.793…→3.79%
よって、配当性向ではX社株式がY社株式を上回っていますが、配当利回りでは下回っていますので、今期に関してはX社の方が株主への利益還元が高いものの、その分株価も高く配当利回りは低いといえます。
(3)は、○。サスティナブル成長率は、企業の今後の成長率を予測する指標で、以下の数式で表せます。
サスティナブル成長率=ROE×内部留保=ROE×(1−配当性向)
ROE(自己資本利益率)=当期純利益/自己資本×100(%)ですので、
X社のROE=2,400億円/20,000億円×100
また、配当性向は、配当金支払額÷当期純利益 で表せます。
X社の配当性向=960億円/2,400億円
よってサスティナブル成長率は、
(2,400億円/20,000億円×100)×(1−960億円/2,400億円)=7.20%
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