問14 2017年9月実技中小事業主資産相談業務
問14 問題文
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの「純資産価額」と「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額」を計算した下記の〈計算式〉の空欄(1)〜(4)に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
〈計算式〉
・純資産価額
{( 1 )万円−(3億5,000万円−1億5,000万円)×( 2 )%}/( 3 )株=□□□円
・類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額
235円×( 4 )+□□□円×(1−( 4 ))=□□□円
問14 解答・解説
類似業種比準方式・併用方式による非上場株式の相続税評価に関する問題です。
非上場株式会社の株式の原則的評価方式は、会社規模に応じて以下の通りとされています。
大会社:類似業種比準方式(純資産価額方式も選択可)
中会社:類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式(純資産価額方式も選択可)
小会社:純資産価額方式(併用方式の選択可)
※なお、同族会社の同族株主以外の株主等の場合は、特例的評価方式として、会社規模に関わらず配当還元方式で評価されます。
本問では]社は中会社ですから、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式か、純資産価額方式のいずれかを選択できます。
まず、1株当たりの類似業種比準価額については、設例にある通り235円です。
次に、1株当たりの純資産価額について、数式は以下の通りです。
株価=(相続税評価額の総資産価額−負債合計額−評価差額の法人税相当額)÷発行済株式総数
※評価差額の法人税相当額=(相続税評価額の純資産額−帳簿価額の純資産額)×37%
上記の法人税相当額の計算式は、平成27年4月1日から「38%」となっていましたが、法人税率の引き下げにより、平成28年4月1日からは「37%」となりました。
よって、問題文の数値を数式に当てはめていくと、
相続税評価額の純資産価額=5億1,000万円−1億6,000万円=3億5,000万円
帳簿価額の純資産額=3億1,000万円−1億6,000万円=1億5,000万円
評価差額の法人税相当額=(3億5,000万円−1億5,000万円)×37%
=2億万円×37%=7,400万円
ここで相続税評価額の総資産価額−負債の合計額=相続税評価額の純資産額 ですので、
株価=(3億5,000万円−7,400万円)÷500,000株
=2億7,600万円÷500,000株=552円
次に、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式の計算式は、以下の通りです。
評価額=類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額×(1−L)
※Lは、中会社のうち大規模なものは0.9、中規模は0.75、小規模は0.6、小会社は0.5。
設例では]社の会社規模は「中会社の中」とありますので、Lは0.75となります。
よって併用方式の評価額は、
評価額=235円×0.75+552円×(1−0.75)
=176.25+138=314.25→314円(円未満切捨て)
従って、併用方式314円<純資産価額方式552円 となり、評価額が低い方がX社にとって有利(相続税の評価額が低い)ですから、X社株式の1株当たりの相続税評価額(原則的評価方式)は、314円 です。
以上により正解は、(1)35,000(万円) (2)37(%) (3)500,000(株) (4) 0.75
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