問8 2013年1月実技中小事業主資産相談業務
問8 問題文
X社の所要運転資金に関する次の(1)〜(3)の記述について,適切なものには〇印を,不適切なものは×印を解答用紙に記入しなさい。
(1) X社の売上高が増加した場合,各資産・負債の回転期間等のほかの条件が変わらない限り,所要運転資金は増加する。
(2) X社の売上債権の増加は,X社が無理な押込み販売をした証拠であると判断してよい。
(3) 貸借対照表の資産の部で,有価証券が受取手形・売掛金と製品・原材料・仕掛品の間に表示されているのは,有価証券が当座資産に属することを明確にするためであり,所要運転資金とは直接の関係はない。
問8 解答・解説
企業の所要運転資金に関する問題です。
(1) は、○。所要運転資金の計算式は、以下の計算式でも表すことができます。
所要運転資金=(売掛債権回転期間+在庫回転期間−仕入債務回転期間)×平均月商
※売掛債権回転期間:売上発生から代金回収までの期間。
売掛債権回転期間=売上債権÷平均月商
※在庫(商品)回転期間:原材料・製品・商品の仕入れから販売までの期間。
在庫(商品)回転期間=棚卸資産÷平均月商
※仕入債務回転期間:原材料や商品の仕入れからその代金を支払うまでの期間。
仕入債務回転期間=支払債務÷平均月商
よって、売上高つまり平均月商だけが増加し、債券や債務の回転期間が変わらないと、所要運転資金が増加することになります。
(2) は、×。売上債権とは売掛金や受取手形のことですが、売上債権の増加の要因は、現金取引の減少・債権回収の遅延・手形支払期間の長期化・架空売上などです。
無理な押込み販売の結果、売上債権が増加することもありますが、証拠とまでは言い切れません。
(3) は、○。貸借対照表では、短期間に現金化しやすい資産を流動資産としてまとめて記載しますが、流動資産は現預金・受取手形・売掛金・有価証券といった当座資産と、商品・製品・原材料等の棚卸資産、さらに短期貸付金や未収金といったそのた流動資産に分けられます。
所要運転資金は、仕入→在庫→売上(→仕入)…という経営サイクルを進めるために必要なお金を表すもので、有価証券の有無で本業の事業構造が変わるわけではありません。
よって、有価証券は、所要運転資金(経常運転資金)には影響しません。
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