問8 2010年9月実技中小事業主資産相談業務
問8 問題文
X社の所要運転資金に関する次の(1)〜(3)の記述のうち,適切なものには○印を,不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。なお,他の要因は考慮しないものとする。
(1)
X社の所要運転資金は,24,800千円である。
(2)
X社の商品回転期間(売上ベース)が0.2カ月延長すると,所要運転資金は4,800千円増加する。
(3)
X社の買掛金が2,400千円増加すると,所要運転資金は2,400千円増加する。
問8 解答・解説
企業の所要運転資金に関する問題です。
所要運転資金とは常時必要な運転資金の目安で、銀行融資の審査で用いられます。その会社がどれくらいの運転資金を必要とする事業構造なのかを算出し、所要運転資金の水準を確認するわけです。所要運転資金の計算式は以下の通り。
所要運転資金=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産−仕入債務(支払手形+買掛金)
※割引手形がある場合は売上債権に加算
(1)
は、×。X社の所要運転資金の計算過程は以下の通りです。
売上債権=売掛金35,640千円+受取手形5,160千円+割引手形7,200千円=48,000千円
棚卸資産=商品14,400千円
支払債務=買掛金21,700千円+支払手形8,700千円=30,400千円
よって、所要運転資金=48,000+14,400−30,400=32,000千円 となります。
(2)
は、○。所要運転資金の計算式は、以下の計算式でも表すことができます。
所要運転資金=(売掛債権回転期間+在庫回転期間−買掛債務回転期間)×平均月商
※売掛債権回転期間:売上発生から代金回収までの期間。
売掛債権回転期間=売上債権÷平均月商
※在庫(商品)回転期間:原材料・製品・商品の仕入れから販売までの期間。
在庫(商品)回転期間=棚卸資産÷平均月商
※買掛債務回転期間:原材料や商品の仕入れからその代金を支払うまでの期間。
買掛債務回転期間=支払債務÷平均月商
在庫(商品)回転期間(売上ベース)が0.2カ月延長したということは、商品の仕入れから販売までの期間が0.2カ月延び、その分運転資金が不足するわけです。
不足所要運転資金額=平均月商×(売上延長期間+在庫延長期間−買入延長期間)
※平均月商=売上高÷12
よって、不足所要運転資金額=288,000÷12×0.2=4,800千円 となり、所要運転資金額は4,800千円増加したことになります。
(3)
は、×。 X社の買掛金が2,400千円増加した場合、計算式に当てはめると、
所要運転資金=48,000+14,400−32,800=29,600千円 となりますので、
当初の所要運転資金32,000千円と比較すると、
所要運転資金は、32,000−29,600=2,400千円減少する
ことになります。
FP対策講座
<FP対策通信講座>
●LECのFP通信講座 ⇒ FP(ファイナンシャル・プランナー)サイトはこちら
●日本FP協会認定教育機関のWEB講座 ⇒ 2級FP技能士 (資格対策ドットコム)
●通勤中に音声学習するなら ⇒ FP 通勤講座
●社労士・宅建・中小企業診断士等も受けるなら ⇒ 月額定額サービス【ウケホーダイ】