問1 2023年9月実技中小事業主資産相談業務
問1 問題文
Aさんは、今後20年間は働いて厚生年金保険料を納付する予定であり、Mさんは、《設例》の<Aさんに関する資料>に基づき、Aさんが67歳で退職したと仮定した場合のAさんの退職した後の老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額を試算した。老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額を求める下記の<計算式>の空欄(1)〜(3)に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。
なお、老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに繰下げ受給は行わないものとする。また、年金額は2023年度価額に基づくものとし、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
<計算式>
・老齢基礎年金の年金額
795,000円×( 1 )月/480月=□□□円
・老齢厚生年金の年金額(本来水準の額)
イ)報酬比例部分の額
□□□円×7.125/1,000×□□□月+□□□円×5.481/1,000×( 2 )月=□□□円
ロ)経過的加算額
1,657円×( 3 )月−795,000円×( 1 )月/480月=□□□円
したがって、67歳で退職した後の老齢厚生年金の年金額(イ+ロ)は、□□□円となる。
問1 解答・解説
老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給額に関する問題です。
老齢基礎年金額の計算式は、以下の通りです。
老齢基礎年金=満額の基礎年金×(納付済月数+免除分調整月数)/(加入可能年数×12)
まず、2023年度の満額の基礎年金額は、795,000円。
次に、保険料納付済月数ですが、Aさんは20歳からの36月と2011年からの36月が国民年金未納期間で、それ以外の期間は67歳まで厚生年金で保険料納付予定です。
老齢基礎年金の支給額にカウントされるのは、20歳以上60歳未満の加入期間??ですから、厚生年金加入期間のうち、20歳未満と60歳以降の期間は除外します。
保険料納付済月数:厚生年金144月+348月−厚生年金60歳以降84月=408月
次に、免除期間は、全額免除や半額免除等、保険料の免除分に応じて免除月数に一定数を乗じて、調整計算しますが、未納期間や未加入期間は年金額に全く反映されません。
またAさんは昭和16年4月2日以降生まれですので、「加入可能年数」は40年です。
(昭和16年4月1日以前生まれの場合、加入可能年数は40年を下回ります。)
以上により、
Aさんの老齢基礎年金=795,000円×408月/(40年×12)
=675,750円
次に、老齢厚生年金額は、まず、報酬比例部分の年金額を求めます。
報酬比例部分=(平均標準報酬月額×乗率×2003年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×乗率×2003年4月以後の被保険者期間の月数)
問題にあるように、Aさんの2003年3月までの平均標準報酬月額30万円・被保険者月数48月(1999年4月〜2003年3月まで)で、2003年4月以降の平均標準報酬額50万円・被保険者月数444月(144月−48月+348月)です。
=300,000円×7.125/1000×48月+500,000円×5.481/1000×444月
=102,600円+1,216,782円
=1,319,382円
次に経過的加算額は、定額部分の年金額と老齢基礎年金の差額で、以下の計算式となります。
経過的加算額=定額部分−老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額
※定額部分=1,657円×被保険者月数
※老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額
=満額の基礎年金×(20歳以上60歳未満の被保険者月数(注))/(加入可能年数×12)
(注) 1961年4月以後の厚生年金
定額部分の年金は、生まれた年によって、被保険者期間の月数の上限が異なりますが、1946年(昭和21年)4月2日以後生まれの場合には上限480月として計算されます。
Aさんの被保険者期間は、144月+348月=492月>480月ですので、480月として計算されます。
また、経過的加算額の算出において、基礎年金相当部分は「1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金の被保険者期間」ですから、Aさんの厚生年金の被保険者期間492月のうち、60歳以降の84月分は除かれます。
よって計算式は
よって、定額部分=1,657円×480月=795,360円
老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額=795,000円×(492月−84月)/(40年×12)
=675,750円
従って、経過的加算額=795,360円−675,750円=119,610円
よって、老齢厚生年金の基本年金額=報酬比例部分+経過的加算
=1,319,382円+119,610円
=1,438,992円
以上により正解は、(1)408(月) (2)444(月) (3)480(月)
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