問58 2023年5月学科
問58 問題文択一問題
宅地および宅地の上に存する権利の相続税における評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、評価の対象となる宅地は、借地権(建物等の所有を目的とする地上権または土地の賃借権)の設定に際し、その設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払う「借地権の取引慣行のある地域」にあるものとする。また、宅地の上に存する権利は、定期借地権および一時使用目的の借地権等を除くものとする。
1.Aさんが、従前宅地であった土地を車庫などの施設がない青空駐車場(月極駐車場)の用に供していた場合において、Aさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その土地の価額は貸宅地として評価する。
2.Bさんが、所有する宅地の上にアパートを建築して賃貸の用に供していた場合において、Bさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その宅地の価額は貸家建付地として評価する。
3.Cさんが、借地権の設定に際して通常の権利金を支払って賃借した宅地の上にCさん名義の自宅を建築して居住の用に供していた場合において、Cさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その宅地の上に存するCさんの権利の価額は、借地権として評価する。
4.Dさんが、借地権の設定に際して通常の権利金を支払って賃借した宅地の上にDさん名義のアパートを建築して賃貸の用に供していた場合において、Dさんの相続が開始したときは、相続税額の計算上、その宅地の上に存するDさんの権利の価額は、貸家建付借地権として評価する。
問58 解答・解説
宅地と借地権の相続税評価に関する問題です。
1.は、不適切。土地所有者が、所有する宅地を青空駐車場として賃貸している場合、借地権等は発生しない(土地利用を目的とした賃貸借ではなく自動車を保管する契約とされる)ため、自用地として評価します。
なお、コンクリートやアスファルト舗装等の構築物があれば、小規模宅地の特例により、貸付事業用として200uまで50%減額評価の対象です。
2.は、適切。貸家建付地とは、自分が所有する土地に建築した家屋を、他に貸し付けている場合の土地のことです(アパートを建てて賃貸している自分の土地)。
3.は、適切。借地権とは、第三者から土地を借りて、自己所有の建物を建てることができる権利ですので、土地を借りて自己所有の家屋を建てていれば、家屋の評価額とは別に、「土地の上に家屋があること」自体を借地権として評価します。
なお、権利金とは借地権設定した際に地主に払った一時金のことで、通常の権利金の支払いがある場合、最も一般的な借地権としての評価(自用地評価額×借地権割合)となります。
4.は、適切。土地を借りて、その上に貸家を建て第三者に賃貸しているような場合、貸家の敷地となっている借地権は、貸家建付借地権として評価します。
貸家建付借地権の評価額=借地権価額−借地権価額×借家権割合×賃貸割合
=自用地評価額×借地権割合×(1−借家権割合×賃貸割合)
よって正解は、1.
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