問1 2023年1月実技生保顧客資産相談業務
問1 問題文
Mさんは、Aさん夫妻に対して、Aさんが受給することができる公的年金制度からの老齢給付の額について説明した。《設例》の<Aさん夫妻に関する資料>および下記の<資料>に基づき、次の(1)、(2)を求め、解答用紙に記入しなさい(計算過程の記載は不要)。なお、年金額は2022年度価額に基づいて計算し、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。
(1)原則として、Aさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の年金額
(2)原則として、Aさんが65歳から受給することができる老齢厚生年金の年金額
<資料>
○老齢基礎年金の計算式(4分の1免除月数、4分の3免除月数は省略)
777,800円×{(保険料納付済月数+保険料半額免除月数×□/□+保険料全額免除月数×□/□)/480}
○老齢厚生年金の計算式(本来水準の額)
i)報酬比例部分の額(円未満四捨五入)=(a)+(b)
(a):2003年3月以前の期間分
平均標準報酬月額×7.125/1,000×2003年3月以前の被保険者期間の月数
(b):2003年4月以後の期間分
平均標準報酬額×5.481/1,000×2003年4月以後の被保険者期間の月数
ii)経過的加算額(円未満四捨五入)=1,621円×被保険者期間の月数−777,800円×(1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間の月数/480)
iii)加給年金額=388,900円(要件を満たしている場合のみ加算すること)
問1 解答・解説
老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給額に関する問題です。
老齢基礎年金額の計算式は、以下の通りです。
老齢基礎年金=満額の基礎年金×(納付済月数+免除分調整月数)/(加入可能年数×12)
まず、2022年度の満額の基礎年金額は、777,800円。
Aさんには免除期間がなく、納付済月数は厚生年金の被保険者期間の合計として、204月+351月=555月ですが、これは20歳前と60歳以後の厚生年金の被保険者期間も含んでいます。
老齢基礎年金は、20歳〜60歳までの40年間(480ヶ月)が加入可能年数の上限となります(昭和16年4月2日以降に生まれた場合)。
Aさんは、20歳から60歳まで免除期間や未納期間等がなく、全て納付しているため、老齢基礎年金における納付済月数は480ヶ月です。
以上により、
Aさんの老齢基礎年金=777,800円×480月/(40年×12)
=777,800円
次に、老齢厚生年金額は、まず、報酬比例部分の年金額を求めます。
報酬比例部分=(平均標準報酬月額×乗率×2003年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×乗率×2003年4月以後の被保険者期間の月数)
問題にあるように、Aさんの2003年3月までの平均標準報酬月額28万円・被保険者月数204月で、2003年4月以降の平均標準報酬額50万円・被保険者月数351月です。
=280,000円×7.125/1000×204月+500,000円×5.481/1000×351月
=406,980円+961,915.5円
=1,368,895.5円 → 1,368,896円(円未満四捨五入)
次に経過的加算額は、定額部分の年金額と老齢基礎年金の差額で、以下の計算式となります。
経過的加算額=定額部分−老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額
※定額部分=1,621円×被保険者月数
※老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額
=満額の基礎年金×(20歳以上60歳未満の被保険者月数(注))/(加入可能年数×12)
(注) 1961年4月以後の厚生年金
また、Aさんの「20歳以上60歳未満の被保険者月数」は、会社員だった204月+351月=555月のうち、20歳〜60歳までの40年間(480ヶ月)です。
さらに、Aさんの加入可能年数は、20歳以上60歳未満の40年ですので、40年×12月=480月 です。
よって、定額部分=1,621円×480月=778,080円
老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額=777,800円×480月/(40年×12)
=777,800円
従って、経過的加算額=778,080円−777,800円=280円
よって、老齢厚生年金の基本年金額=報酬比例部分+経過的加算
=1,368,896円+280円
=1,369,176円
最後に、配偶者の加給年金は、厚生年金の被保険者期間が20年以上で、65歳未満の配偶者がいる場合には、老齢厚生年金に加給年金が加算されます。
支給条件は、上記に加えて、配偶者と生計維持関係にあること(配偶者の年収850万円以下)、配偶者が厚生年金の被保険者期間20年以上の老齢厚生年金等を受給していないこと、もあります。
Aさんの厚生年金の被保険者期間は555月(46年3ヶ月)で、妻Bさんとは生計維持関係にありますが、既に妻Bさんは65歳になっており自身の老齢基礎年金を受給できるため、加給年金の支給対象外となります(いわゆる姉さん女房の場合、加給年金は支給されないわけです)。
以上により正解は、(1)777,800(円) (2)1,369,176(円)
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