問15 2023年1月実技中小事業主資産相談業務

問15 問題文と解答・解説

問15 問題文

X社株式の評価に関する次の記述(1)〜(4)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

(1)Aさんが所有するX社株式を長男Cさんに生前贈与する場合は、X社株式の相続税評価額が下がったタイミングが望ましいが、X社がAさんに対して役員退職金を支給することにより、X社株式の相続税評価額を引き下げる効果が期待できる。

(2)X社が時価よりも相続税評価額が低い不動産を購入することにより、X社株式の相続税評価額を引き下げる効果が期待できるが、不動産取得後1年間は、通常の取引価額(時価)により評価するため、効果が現れるのは取得から1年経過後となる。

(3)X社株式の相続税評価額を引き下げるためには、積極的な費用計上を行って利益を圧縮することや、新規取引先に対する金銭債権のうち回収可能性があるものについても債権放棄により貸倒損失を計上することなどが望ましい。

(4)X社の従業員数が70人以上となり、X社の規模区分が「大会社」となった場合、同族株主が取得するX社株式の価額は、純資産価額によって評価しなければならず、純資産価額よりも低い類似業種比準価額による評価を選択することはできない。

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問15 解答・解説

非上場会社の事業承継対策等に関する問題です。

(1)は、○。役員退職金を支給すると、会社の利益と純資産が減少しますから、評価額の引き下げ効果があります。

(2)は、×。土地・家屋等の不動産のような、時価よりも相続税評価額が低い資産を購入すると、実質的な資産価値は変えずに、純資産価額方式による相続税評価額を引き下げることができます。
ただし、相続開始前3年以内に取得した土地・家屋等は、通常の取引価額で評価するため、計画的な相続・事業承継が必要です。

(3)は、×。自社株の評価額が高額だった場合には、評価額を引き下げるために、役員退職金の支給等の積極的な費用計上による利益の圧縮や、記念配当・特別配当への切り替えといった対策を行うことで、結果的に相続税の負担軽減を図ることができますが、資産状況・支払能力等からみて、回収可能性があるものについては債権放棄による貸倒損失の計上は認められません

(4)は、×。非上場株式の相続税評価額を算定する際、直前期末以前1年間の従業員数が70人以上の会社は「大会社」、70人未満の会社は業種・総資産価額・従業員数・取引金額に応じて「中会社」「小会社」に分類されます。
非上場株式会社の株式の原則的評価方式は、会社規模に応じて以下の通りとされています。
大会社:類似業種比準方式(純資産価額方式も選択可)
中会社:類似業種比準方式と純資産価額方式との併用方式(純資産価額方式も選択可)
小会社:純資産価額方式(併用方式の選択可)
※なお、同族会社の同族株主以外の株主等の場合は、特例的評価方式として、会社規模に関わらず配当還元方式で評価されます。

問14             目次

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