問14 2022年9月実技損保顧客資産相談業務

問14 問題文と解答・解説

問14 問題文

Aさんの相続等に関する次の記述(1)〜(4)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

(1)「現預金および上場株式を含め、相続財産の大半を妻Bさんと二男Dさんに相続させた場合、長男Cさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、Aさんの相続に係る遺留分を算定するための財産の価額を5億円とした場合、長男Cさんの遺留分の金額は、6,250万円となります」

(2)「円滑な遺産分割のための手段として、遺言書の作成をお勧めします。公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成しますが、推定相続人が証人になることはできません」

(3)「《設例》の相続税評価額に基づき、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受ける場合、『特定居住用宅地等』に該当する自宅の敷地よりも『貸付事業用宅地等』に該当する賃貸ビルの敷地を優先して適用を受けるほうが減額金額は大きくなります」

(4) 「妻Bさんが『配偶者に対する相続税額の軽減』の適用を受けた場合、妻Bさんが相続により取得した財産の額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6,000万円とのいずれか多い金額までであれば、原則として、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されません」

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問14 解答・解説

遺留分・小規模宅地の特例・相続税の配偶者控除に関する問題です。

(1)は、○。遺留分とは、相続人が最低限受け取れる財産で、被相続人の兄弟姉妹以外に認められるものです。
その割合は、相続人が直系尊属のみ場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1
よって本問の場合、長男Cさんの法定相続分は4分の1で、遺留分は8分の1となりますから、
遺留分の額は、5億円×1/8=6,250万円 です。

(2)は、○。公正証書遺言とは、公証人役場で証人2名以上の立会いのもと、公正証書で遺言を作成することで、遺言書の原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざん等のおそれがなく、安全性は高いです。
ただし、推定相続人や受遺者等は証人になれません(受遺者:遺言で財産を受け取る予定の人)。
つまり、遺言の内容に対して利害がある人(配偶者や親族等)は証人になれないわけです。

(3)は、×。小規模宅地の特例は、特定事業用や特定居住用と貸付事業用を併用する場合、一定の限度面積の制限があります。
<貸付事業用宅地を併用して小規模宅地等の特例適用を受ける場合の限度面積>
特定事業用の適用面積×200/400+特定居住用の適用面積×200/330+貸付事業用の適用面積≦200u

このため、貸付事業用を併用する場合には、減額割合と面積制限に応じた1u当たりの相続税評価額を算出し、金額の多い順から特例適用すると、評価額の減額幅が大きくなります。
特定居住用:相続税評価額/u×80%×330u=相続税評価額/u×2.64
特定事業用:相続税評価額/u×80%×400u=相続税評価額/u×3.20
貸付事業用:相続税評価額/u

よって、特定居住用と貸付事業用を併用する場合、どの宅地から優先適用すると有利かは以下の通り。
特定居住用:7,000万円/330u×2.64=56万円
貸付事業用:1億2,000万円/400u=30万円
よって本問の場合、特定居住用(自宅)>貸付事業用(アパート)の順に優先適用するのが最も減額評価されます。

(4)は、○。「配偶者に対する相続税額の軽減(相続税の配偶者控除)」は、被相続人の配偶者が財産を取得した場合に、法定相続分相当額、または1億6,000万円のいずれか高い方までは、相続税がゼロになる特例です。

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