問12 2022年9月実技損保顧客資産相談業務

問12 問題文と解答・解説

問12 問題文

Aさんの2022年分の所得税の算出税額を計算した下記の表の空欄(1)〜(4)に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。



<資料>給与所得控除額


<資料>所得税の速算表

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問12 解答・解説

所得税の算出税額に関する問題です。

所得税の算出税額を計算するには、まずその人の総所得金額を計算する必要がありますが、総所得金額は、大雑把に言うと、総合課税の所得を合計し、損益通算した後の金額です。

本問では、給与所得と不動産所得、一時所得(一時払終身保険の解約返戻金)は総合課税の対象です。
一時払の養老保険や個人年金保険・変額個人年金などを契約から5年以内に解約(満期による契約満了含む)した場合、金融類似商品として受取差益に20.315%の源泉分離課税となります(復興特別所得税を含む)。
ただし、金融類似商品の対象条件の一つとして、死亡保険金額が満期保険金額の一定倍率以下とされていますので、満期のない終身保険は該当しません。
従って、一時払終身保険を5年以内に解約した場合、解約返戻金は一時所得の収入金額として総合課税の対象です。
さらに、一時所得は、総所得金額を算出する際に、その2分の1が合算対象です。

まず、給与所得=給与収入−給与所得控除で、Aさんの給与収入は800万円ですから、
給与所得=800万円−(800万円×10%+110万円)=610万円

次に、不動産所得は15万円と明示されていますので、一時所得を算出します。
一時所得=収入額−収入を得るために支出した額−特別控除50万円 ですが、
一時所得=480万円−500万円−0円=▲20万円 →※特別控除は0円になる
一時所得の損失は、他の所得と損益通算できないため、一時所得が損失(マイナス)となった場合、0円として取り扱います。

よって、Aさんの総所得金額=給与所得+不動産所得+一時所得×1/2
             =610万円+15万円+0円×1/2=625万円
従って、(1)の正解は、6,250,000(円単位)

次に、所得税の配偶者控除は、生計同一で年間の合計所得額が48万円以下の配偶者であれば適用されるため、収入が給与のみの場合、年収103万円以下(給与所得控除55万円適用後に48万円)であれば、配偶者控除の適用対象です。ただし、配偶者控除の適用を受ける人の合計所得金額が900万円までは控除額38万円ですが、900万円超950万円以下では26万円、950万円超1,000万円以下では13万円と、段階的に控除額が下がり、1,000万円超で控除額0円となります(給与収入だけなら1,220万円以下なら配偶者控除を受けられます)。
従って、収入0円の妻Bさんは配偶者控除の対象であり、Aさんの合計所得金額は900万円以下ですので、配偶者控除38万円の適用対象となります。
よって、(2)の正解は、380,000(円単位)

次に、扶養控除は16歳以上が適用対象で、控除額は38万円なのに対し、特定扶養控除は、19歳以上23歳未満が適用対象で、控除額は扶養控除38万円に25万円上乗せした、63万円です。
また、いずれも生計同一で合計所得金額38万円以下(給与収入だけなら103万円以下)であることが必要です。
従って、長男Cさん(20歳)は給与収入90万円で特定扶養控除63万円の対象で、二男Dさん(17歳)は収入0円で扶養控除の対象です。
Aさんの扶養控除=63万円+38万円=101万円
よって、(2)の正解は、1,010,000(円単位)

次に、課税総所得金額、算出税額を計算して求めます。
課税総所得金額=総所得金額625万円−所得控除合計270万円=355万円
算出税額=課税総所得355万円×20%−42.75万円=28.25万円
よって、(3)の正解は、282,500(円単位)

以上により正解は、(1)6,250,000(円) (2)380,000(円) (3)1,010,000(円)
(4)282,500(円)

問11             第5問

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