問19 2021年1月学科
問19 問題文択一問題
契約者(=保険料負担者)を法人とする損害保険に係る保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.法人が所有する建物を対象とする長期の火災保険に加入し、保険料を一括で支払った場合、支払った保険料のうち当該事業年度に係る部分を損金の額に算入することができる。
2.法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険の保険金で同一事業年度内に代替車両を取得した場合、所定の要件に基づき圧縮記帳が認められる。
3.業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金が保険会社から従業員の遺族へ直接支払われた場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金の額に算入することができる。
4.積立普通傷害保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、いずれも全額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を取り崩して損金の額に算入することができる。
問19 解答・解説
法人の損害保険の経理処理に関する問題です。
1.は、適切。長期の損害保険の保険料を一括払いした場合、保険料は期間の経過に応じて損金算入します。
よって、長期の火災保険料を一括支払いした場合、支払った年度で損金算入できるのは、その年度分だけです。
2.は、適切。圧縮記帳の対象は、固定資産の滅失・損壊に対して保険金を受け取り、同一事業年度内に代替資産を取得した場合です。
圧縮記帳することで、受け取った保険金への課税を将来に繰り延べることができます。
3.は、不適切。従業員が死亡し、傷害保険の死亡保険金を従業員の遺族が受け取った場合、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、法人は保険金を受け取らないため経理処理は不要です。
4.は、適切。通常の損害保険は満期になっても返戻金がない掛け捨てタイプですが、積立型の損害保険は満期時に満期返戻金が受け取れる貯蓄タイプの保険です。
従って、保険料支払い時は、支払った保険料のうち積立部分は資産計上し、補償部分は損金算入する経理処理となります。 また、満期保険金と契約者配当金の受取時は、受け取った全額を益金に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金算入します。
よって正解は、3.
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