問1 2020年9月実技中小事業主資産相談業務
問1 問題文
Mさんは、Aさんが原則として65歳から受給することができる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額を試算した。老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額を求める下記の<計算式>の空欄(1)〜(3)に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。また、空欄(4)に入る語句を、解答用紙の「される/されない」のいずれかから選び、適切なものを○で囲みなさい。計算にあたっては、《設例》の<Aさん夫妻に関する資料>に基づくこと。
なお、年金額は2020年度価額に基づくものとし、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
<計算式>
・老齢基礎年金の年金額
( 1 )円×( 2 )月/480月=□□□円
・老齢厚生年金の年金額
【1】報酬比例部分の額
220,000円×7.125/1,000×108月=169,290円
【2】 経過的加算額(円未満四捨五入)
1,630円×108月−( 1 )円×( 3 )月/480月=□□□円
【3】 基本年金額
□□□円
【4】 加給年金額(解答用紙の「される/されない」のいずれかを○で囲むこと)
Aさんの場合、加給年金額は加算( 4 )。
【5】 老齢厚生年金の年金額
□□□円
問1 解答・解説
老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給額に関する問題です。
老齢基礎年金額の計算式は、以下の通りです。
老齢基礎年金=満額の基礎年金×(納付済月数+免除分調整月数)/(加入可能年数×12)
まず、2020年度の満額の基礎年金額は、781,700円。
次に、保険料納付済月数ですが、Aさんは18歳から27歳まで厚生年金に加入後、27歳からの48月が国民年金未納期間で、その後65歳まで国民年金で保険料納付予定です。
老齢基礎年金の支給額にカウントされるのは、20歳以上60歳未満の加入期間ですから、厚生年金加入期間のうち、20歳未満と60歳以降の期間は除外します。
保険料納付済月数:厚生年金108月+国民年金340月−厚生年金20歳未満16月=432月
次に、免除期間は、全額免除や半額免除等、保険料の免除分に応じて免除月数に一定数を乗じて、調整計算しますが、未納期間や未加入期間は年金額に全く反映されません。
またAさんは昭和16年4月2日以降生まれですので、「加入可能年数」は40年です。
(昭和16年4月1日以前生まれの場合、加入可能年数は40年を下回ります。)
以上により、
Aさんの老齢基礎年金=781,700円×432月/(40年×12)
=703,530円
次に、老齢厚生年金額は、まず、報酬比例部分の年金額を求めますが、本問では169,290円と明示されていますので、経過的加算額から計算します。
経過的加算額は、定額部分の年金額と老齢基礎年金の差額で、以下の計算式となります。
経過的加算額=定額部分−老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額
※定額部分=1,630円×被保険者月数
※老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額
=満額の基礎年金×(20歳以上60歳未満の被保険者月数(注))/(加入可能年数×12)
(注) 1961年4月以後の厚生年金
また、Aさんの「20歳以上60歳未満の被保険者月数」は、会社員だった108月から20歳未満16月を除いた92月です。
さらに、Aさんの加入可能年数は、20歳以上60歳未満の40年ですので、40年×12月=480月 です。
よって、定額部分=1,630円×92月=149,960円
老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額=781,700円×92月/(40年×12)
=149,825.83…円 → 149,826円(円未満四捨五入)
従って、経過的加算額=149,960円−149,826円=134円
よって、老齢厚生年金の基本年金額=報酬比例部分+経過的加算
=169,290円+134円
=169,424円
最後に、配偶者の加給年金は、厚生年金の被保険者期間が20年以上で、65歳未満の配偶者がいる場合には、老齢厚生年金に加給年金が加算されます。
支給条件は、上記に加えて、配偶者と生計維持関係にあること(配偶者の年収850万円以下)、配偶者が厚生年金の被保険者期間20年以上の老齢厚生年金等を受給していないこと、もあります。
Aさんの厚生年金の被保険者期間は108月(9年0ヶ月)ですので、加給年金の支給対象外です。
以上により正解は、(1)781,700(円) (2)432(月) (3)92(月) (4)されない
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