問1 2018年9月実技損保顧客資産相談業務

問1 問題文と解答・解説

問1 問題文

はじめに、Mさんは、Aさんに対して、Aさんが65歳になるまでに受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)〜(3)に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。なお、年金額は平成30年度価額に基づいて計算し、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。

「老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として65歳ですが、経過措置として、老齢基礎年金の受給資格期間である( 1 )年を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は、65歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。
昭和33年12月生まれのAさんは、原則として、63歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。Aさんが60歳で定年退職し、厚生年金保険の被保険者ではない場合、下記<資料>の計算式により、Aさんが63歳から受給することができる特別支給の老齢厚生年金の額は、年額( 2 )円となります。
他方、Aさんが継続雇用制度を利用して60歳以後も引き続きX社に勤務し、満63歳でX社を退職し、再就職しない場合、Aさんが退職後に受給することができる特別支給の老齢厚生年金の額は、Aさんの厚生年金保険の被保険者期間が( 3 )年以上あるため、長期加入者の特例の規定が適用され、報酬比例部分の額と定額部分の額との合計額に配偶者の加給年金額を加算した額となります。なお、Aさんは、63歳到達前に厚生年金保険の被保険者期間が( 3 )年を満たした時点で、X社を退職するということも選択肢の1つとして考えることができます」

<資料>
○特別支給の老齢厚生年金の計算式(本来水準の額、平成30年度価額)
・特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の額=a+b

a:平成15年3月以前の期間分
平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月以前の被保険者期間の月数

b:平成15年4月以後の期間分
平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数

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問1 解答・解説

特別支給の老齢厚生年金の支給要件・支給額、長期加入の特例に関する問題です。

特別支給の老齢厚生年金の受給要件は、厚生年金の被保険者期間1年以上、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていることなどです。

また、特別支給の老齢厚生年金は、昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日生まれの男性に対して、63歳〜65歳になるまで報酬比例部分が支給されます。
<報酬比例部分の支給開始年齢>(女性は各5年遅れ)
・昭和28年4月1日以前生まれ………………………60歳
・昭和28年4月2日〜昭和30年4月1日生まれ……61歳
・昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日生まれ……62歳
・昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日生まれ……63歳
・昭和34年4月2日〜昭和36年4月1日生まれ……64歳
昭和36年4月2日以降生まれ(女性は昭和41年4月2日以降)は特別支給の厚生年金なし

設例では、Aさんの生年月日は昭和33年12月16日とありますので、報酬比例部分の支給が63歳から開始されます。

次に、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算式は以下の通りです。
報酬比例部分=平均標準報酬月額×乗率×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×乗率×平成15年4月以後の被保険者期間の月数

よってAさんが60歳で定年退職し、厚生年金保険の被保険者ではない場合の場合、Aさんの報酬比例部分の年金額は、
=300,000 円×7.125/1,000×312月+450,000 円×5.481/1,000×188月
=666,900+463,692.6
=1,130,592.6 → 1,130,593円(円未満四捨五入)

また、「長期加入者の特例(44年特例)」は、厚生年金の加入期間が44年以上ある場合、昭和24年4月2日以後生まれ(女性は昭和29年)でも、定額部分の年金も支給される特例です(加給年金の対象となる配偶者がいる場合には、加給年金も加算)。
Aさんは昭和33年12月16日生まれで、60歳時点の被保険者期間は312月+188月=500月ですが、加入期間が44年(528月)以上となるためには、あと2年4ヶ月(28月)被保険者である必要があります。
よってAさんは、62歳以後63歳までの間に44年を満たした時点で退職すると、長期加入者の特例の対象となり、65歳からの老齢厚生年金と同額の年金を受給できるため、その時点まで勤務するという選択肢もありえます。

以上により正解は、(1) 10(年) (2)1,130,593(円) (3)44(年)

第1問             問2

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