問28 2018年5月学科
問28 問題文択一問題
ポートフォリオ理論等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.ポートフォリオの期待収益率は、ポートフォリオに組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均した値となる。
2.シャープレシオは、「ポートフォリオ全体のリスク(標準偏差)」を「ポートフォリオ全体の収益率から無リスク資産収益率を減じたもの」で除すことにより求められる。
3.株式のポートフォリオにおいて、組入れ銘柄数を増やすことにより、システマティック・リスクを低減することができる。
4.異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数が−1となる場合、ポートフォリオを組成することによる分散投資の効果(リスクの低減)は得られない。
問28 解答・解説
ポートフォリオ理論に関する問題です。
1.は、適切。ポートフォリオの期待収益率=(各資産の期待収益率×組入比率)の総和 です。
つまり、各資産の期待収益率の単純な平均ではなく、ポートフォリオの期待収益率は、各資産の期待収益率に投資している割合(組入比率)を加味して平均(加重平均)した値となります。
2.は、不適切。シャープレシオは、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率(無リスク資産利子率)を差し引いた、超過収益率を標準偏差で除して求めます。
つまり、
シャープ・レシオ=(ポートフォリオの収益率−安全資産利子率)÷標準偏差 です。
3.は、不適切。ポートフォリオの組入れ銘柄数を増やすと、個別銘柄による株価変動がポートフォリオ全体に与える影響は小さくなるため、アンシステマティックリスク(非市場リスク)は低減可能ですが、システマティックリスク(市場リスク)は低減できません。システマティックリスク(市場リスク)は、ほぼ全ての証券に影響を及ぼすような価格変動要因ですので、分散投資でも低減できないわけです。
4.は、不適切。ポートフォリオのリスクは、組入資産間の相関係数が1でない限り、組入資産のリスクの加重平均を下回り、組入資産間の相関係数が1のときはリスクの加重平均と等しくなります。
相関係数が1=組入資産全てが正の相関=同じ値動き ですので、ポートフォリオを組んでもリスクは単に同じ値動きをする株を複数買ったのと同じで、分散投資の意味がありません。
相関係数が1より小さい=組入資産が無相関・負の相関=バラバラの値動き・逆の値動き となり、こういったポートフォリオを組むことで、単に加重平均した計算結果よりも全体としてリスクを抑えた投資を行うことが可能となります。
従って、相関係数が−1となる資産の組合せは、相関係数が正やゼロとなる組み合わせよりも、ポートフォリオによるリスク(標準偏差)の低減効果を得ることができます。
よって正解は、1.
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