問59 2017年9月学科
問59 問題文択一問題
遺産分割対策に関する次の一般的な記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.遺言により遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における共同相続人間のトラブルの発生を防止するのに効果的である。
2.財産の大半が不動産である場合、不動産の一部を売却し、現金化しておくことは、遺産分割対策として有効な方法の一つである。
3.代償分割を予定している場合、特定の財産(遺産)を取得する相続人は、他の相続人に対して代償債務を負担しなければならないため、相続開始前に代償債務の履行財源(現金その他の財産)を確保しておくことが望ましい。
4.代償分割により特定の財産(遺産)を取得した相続人から他の相続人に交付された代償財産が不動産や株式であっても、その不動産や株式を交付した相続人には、譲渡所得として所得税が課せられることはない。
問59 解答・解説
遺産分割に関する問題です。
1.は、適切。遺言は、被相続人が生前に遺産の分割方法等について意思を明確するものですので、相続人間の遺産分割をめぐるトラブルを防ぐには効果的です。
2.は、適切。遺産の大部分を不動産が占める場合、遺産分割が困難なため、換価分割や代償分割が有効です。
換価分割:相続財産の全部または一部を売却処分し、その代金を分割する方法。
代償分割:共同相続人のうち特定の者が被相続人の遺産を取得し、その他の相続人に代償として資産を交付する(遺産をもらう代わりに財産を分け与える)方法。
3.は、適切。代償分割は、共同相続人のうち特定の者が被相続人の遺産を取得する代わりに、その他の相続人に代償として資産を交付(遺産をもらう代わりに財産を分け与える)するという代償債務を負うことになるため、相続開始前に現金等の履行財源を確保しておく必要があります。
4.は、不適切。代償分割での代償財産として不動産や株式を交付すると、不動産や株式を時価で譲渡したものとみなされ、交付した人に対する所得税の課税対象となります。
譲渡所得としての課税を回避するには、現金等で代償分割することが必要ということですね(ただし、不動産や株式を売却した代金で代償分割しようとしても、譲渡所得として課税対象となります)。
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