問23 2017年9月学科
問23 問題文択一問題
一般的な固定利付債券の利回りと価格の関係等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.他の条件が同一であれば、債券価格が下落すると、その利回りは上昇する。
2.他の条件が同一であれば、残存期間の短い債券より残存期間の長い債券の方が、利回りの変動に対する価格の変動幅は小さい。
3.他の条件が同一であれば、表面利率が低いほど、利回りの変動に対する価格の変動幅は大きい。
4.他の条件が同一であれば、信用リスクが低いほど、利回りは低くなる。
問23 解答・解説
債券の仕組み・特徴に関する問題です。
1.は、適切。債券の価格が下落すると、当初の設定利率(表面利率)はそのままですので、その債券の最終利回りは上昇します。
(生み出す利息は一緒のものが安く買えるわけですから、最終的な利回りは上昇するわけです。)
2.は、不適切。残存期間が長い債券は、残存期間が短い債券よりも、償還時までに金利変動の影響を受ける期間が長いため、金利変動に対する価格変動幅が大きくなります。
他の条件が同じなら、その債券価格は残存期間の長さ(残存期間中に受け取る利子)と市場金利(同期間中に市場金利で受け取る利子)によって決まります。例えば、残存期間1年と10年の債券では、当然10年の債券の方が価格が高いです。
ここで、1%の市場金利の変動があると、残存期間1年の債券にとっては金利の影響を受けるのは今後1年だけですから、大した変動ではありませんが、10年の債券にとっては今後10年間受け取る利子のオトク度に影響する変動のため、大きな値動きになってしまいます。
言い換えれば、残存期間の長い債券の方が、残存期間中に受け取る利子に対して、同期間中に市場金利で受け取る利子の差が大きく、価格変動幅も大きいといえます。
3.は、適切。債券の価格は、市場金利が上昇すると下落し、市場金利が低下すると上昇しますが、高クーポン(高金利)と低クーポン(低金利)の債券を比較した場合、低クーポン債券の方が、金利の変動に対する価格変動幅は大きくなります。
他の条件が同じなら、その債券価格はクーポンと市場金利の差によって決まります。例えば、クーポン1%と10%の債券では、当然10%の債券の方が価格が高いです。
ここで、1%の市場金利の変動があると、クーポン10%の債券には大した変動ではありませんが、1%の債券にとってはクーポン分と同じ変動のため、大きな値動きになってしまいます。
言い換えれば、低クーポン債券の方が、市場金利の金利変動幅がクーポンに占める割合が高く、価格変動幅も大きいといえます。
4.は、適切。信用リスクが高い=信用度が低い、信用リスクが低い=信用度が高い、ということですので、信用度が高ければ、みんなが欲しがって価格は上がり、利回りは下がる=ローリスク・ローリターンとなり、逆に信用度が低いと、欲しがる人は減るので価格は下がり、利回りは上がる=ハイリスク・ハイリターンとなります。
よって、信用リスクが低い債券は、信用リスクが高い債券よりも、債券価格が上昇し、利回りは低くなります。
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