問55 2017年5月学科
問55 問題文択一問題
遺産分割協議に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、相続人はすべて日本国内に住所を有するものとする。
1.相続人が被相続人の妻、長男(遺産分割時において15歳)の2人である場合、長男においては特別代理人の選任が必要であり、その特別代理人が遺産分割協議に参加できる。
2.相続人が被相続人の妻、長女(遺産分割時において18歳)の2人であり、長女は相続開始前に婚姻している場合、長女は遺産分割協議に参加できる。
3.被相続人の遺言がない場合、共同相続人全員による遺産分割協議により分割することになるが、共同相続人全員が合意すれば、法定相続分どおりに分割する必要はない。
4.共同相続人間における遺産分割協議が調わない場合や協議ができない場合、相続人は、家庭裁判所の調停に先立って、審判による遺産分割を申し立てなければならない。
問55 解答・解説
遺産分割に関する問題です。
1.は、適切。未成年者は法律行為を行うことができないため、原則としては親権者(父・母)が法定代理人として法律行為を行います。ただし、遺産分割協議では、親権者も遺産分割の当事者として未成年者と利益相反関係になる(親が子の分の遺産も受け取ってしまう可能性がある)ため、家庭裁判所が特別代理人を選任し、遺産分割協議に参加します。
2.は、適切。未成年者であっても、婚姻すると民法上は成年者扱いとなるため、法律行為である遺産分割協議に参加可能です。
3.は、適切。遺言で相続分の指定がない場合、共同相続人全員の協議により分割する「協議分割」も可能であり、必ずしも法定相続分に従う必要はありません。
4.は、不適切。遺産の分割について、共同相続人の間で協議がまとまらない場合、各共同相続人はそれぞれ家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。
さらに、調停でもまとまらない場合は、自動的に審判手続が開始され、家事審判官(裁判官)が審判します。
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