問5 2016年9月実技中小事業主資産相談業務
問5 問題文
Mさんは、Aさんに対して、株式の投資指標等について説明した。《設例》の〈X社の概要〉に基づき、Mさんが説明した以下の文章の空欄(1)〜(4)に入る最も適切な数値を解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は、表示単位の小数点以下第1位を四捨五入すること。
「株価の割高割安を判断する目安となる代表的な指標として、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)があります。〈X社の概要〉に基づき、X社株式のPERを算出すると、( 1 )倍となります。
次に、企業の収益性や成長性を測る代表的な指標として、ROE(自己資本利益率)があります。ROEは、PERとPBRを用いても算出することができ、X社株式のPBRを2倍、自己資本と純資産が同額であるとすると、X社のROEは( 2 )%となります。
さらに、配当金額から株主への利益還元度合いを測る指標として、配当性向があります。〈X社の概要〉に基づき、X社の配当性向を算出すると、( 3 )%となります。また、企業の内部留保と利益率から今後の成長率を予測する際に用いる指標であるサスティナブル成長率は、ROEと配当性向を用いて算出することができ、X社のサスティナブル成長率を( 2 )%と( 3 )%を用いて算出すると、( 4 )%となります。
なお、これらの指標は相対的なものであり、同業他社の数値や業界平均値などと比較しながら使用するとよいでしょう」
問5 解答・解説
株式の投資指標に関する問題です。
PER(株価収益率)とは、現在の株価が1株当たりの当期純利益の何倍かを示すものです。
PER=株価/1株当たり当期純利益=株価/(当期純利益/発行済株式総数)
よって、X社のPER=400円÷(120億円/3億株)=10.0倍
次に、ROE(自己資本利益率)・PER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)をそれぞれ計算式に表すと、以下の通りです(純資産と自己資本が同額の場合)。
ROE(自己資本利益率)=当期純利益/自己資本×100
PER=株価/1株当たり当期純利益=株価/(当期純利益/発行済株式総数)
PBR=株価/1株当たり純資産額=株価/(自己資本/発行済株式総数)
よって、PBRにPERの逆数を乗じると、ROEを求めることができます。
PBR×PERの逆数=(株価/1株当たり純資産額)×(1株当たり当期純利益/株価)=当期純利益/純資産=ROE
従って、X社のPBRが2倍で、自己資本と純資産が同額である場合、
X社のROE=2×1/10=0.2→20% となります。
また、サスティナブル成長率は、企業の今後の成長率を予測する指標で、以下の数式で表せます。
サスティナブル成長率=ROE×内部留保=ROE×(1−配当性向)
また、配当性向は、配当金支払額÷当期純利益 で表せます。
X社の発行済み株式総数は3億株で、年間の純利益は120億円ですから、
1株当たりの純利益=120億円÷3億株=40円
よって、X社の配当性向=10円÷40円=0.25→25%
X社のサスティナブル成長率は、
20%×{1−(10円÷40円)}=15%
以上により正解は、(1)10(倍) (2)20(%) (3)25(%) (4)15(%)
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