問51 2016年9月学科
問51 問題文択一問題
民法上の贈与に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.贈与は、書面によるものであっても、その履行がなされていない場合には、各当事者が撤回することができる。
2.贈与は、書面によらないものであっても、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
3.負担付贈与では、贈与者がその負担の限度において売買契約の売主と同様の担保責任を負う。
4.負担付贈与では、受贈者がその負担である義務を履行しない場合において、贈与者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、贈与者は、当該贈与の契約の解除をすることができる。
問51 解答・解説
贈与契約に関する問題です。
1.は、不適切。贈与契約が書面でなく口頭の場合は、まだ履行していない部分については「やっぱやめますわ」と贈与者・受贈者のどちらからでも取り消すことができますが、書面で契約した場合は、相手がOKしてくれないと取り消せません。
2.は、適切。贈与とは、贈与する人が自分の財産を贈与される人に無償で与える意思を表示し、贈与される人がそれを受諾することで効力が生ずる諾成契約です。
つまり、お互いの合意により契約締結となるわけですね。
3.は、適切。負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした贈与で、通常の贈与のような無償契約ではなく有償契約に近いことから、受贈者に負担させるサービスや債務の限度内で、売買契約の売主と同様の担保責任を負います。
つまり、何かしらのサービスや債務を負担してもらう見返りに贈与するわけですから、負担に見合った財産を贈与する責任があるわけです。
4.は、適切。負担付贈与契約は、一般の贈与と異なり双務契約の規定が準用されるため、受贈者が負担を履行しない場合には、贈与者は贈与契約を解除することができます。
ちなみに「双務契約」とは、当事者双方がお互いに対価的な債権・債務を有する契約で、売買契約のように売主は買主に商品を引き渡す義務を負い、買主は売主に対価として代金を支払う義務を負う契約のことです。
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