問22 2016年5月学科
問22 問題文択一問題
わが国における不動産投資信託(以下「J−REIT」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.J−REITは契約型投資信託に分類され、受益者は不動産から生じる賃料収入や不動産の入替えに伴う転売益などを原資として分配金を受け取る。
2.J−REITの投資対象は、国内外の不動産のほか、国内外に上場している不動産会社の株式およびこれらの不動産会社が発行する社債である。
3.上場されているJ−REITは、上場株式と同様に、成行注文や指値注文によって取引することができる。
4.個人が受け取るJ−REITの分配金は、上場株式の配当金と同様に、確定申告することにより配当控除の適用を受けることができる。
問22 解答・解説
不動産投資信託(J-REIT)に関する問題です。
1.は、不適切。投資信託は契約型と会社型に分類できますが、東京証券取引所に上場されている不動産投資信託(J-REIT)は、すべて会社型投資信託です。
会社型の投資信託は、投資法人を設立し、その投資法人が発行する投資口を投資家が購入する形式で、J-REITなどが該当します。
また、J-REITの分配金の原資は、主に不動産への直接投資によって得られる賃貸収入や売買益です。
2.は、不適切。不動産投資信託(J-REIT)の投資対象は、複数の現物不動産や不動産信託受益権(信託銀行に不動産の管理運用を信託した上で収益を得る権利)であるため、不動産会社の株式や社債といった有価証券は投資対象外です。
3.は、適切。J-REITは、証券取引所に多数の銘柄が上場しており、通常の株式同様に指値注文や成行注文等、市場で自由に売買でき、一般的には証券会社を通じて取引を行います。
4.は、不適切。J-REITの収益分配金は、配当控除の対象外です。
そもそも配当控除とは、法人税と所得税の二重課税を避けるため、設けられている制度です。
株の配当や投信の分配金は、企業が法人税を払った後の剰余金であるため、ここに所得税を課税すると、いったん税金を取った後のお金から、さらに税金を取る二重課税となってしまいます。
そこで、二重課税を回避するため、確定申告時に一定額を配当控除として差し引くわけです。
しかし、J-REITの収益分配金は、法人税を支払う前の利益を分配できる(分配金の損金算入可)ため、二重課税が発生しないことから、配当控除の対象外となっています。
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