問23 2015年9月学科
問23 問題文択一問題
債券投資におけるリスクの一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.債券投資において、発行体の信用度、償還までの期間および利回りが同じであれば、表面利率(クーポンレート)が低い債券ほど、金利の変動による債券価格の変動は小さい。
2.公募により発行されて不特定多数の投資者に保有され、発行額が大きい債券は、流動性が高いとされる。
3.債券の発行体の財務状況の悪化や経営不振などにより、償還や利払い等の不履行の可能性が高まると、当該債券の市場価格は下落する。
4.債券の信用格付では、通常、BB格(相当)以下の債券は「投機的格付」、BBB格(相当)以上の債券は「投資適格」とされるが、この信用格付が引き上げられた場合に当該債券の利回りは低下する。
問23 解答・解説
債券投資のリスクに関する問題です。
1.は、不適切。債券の価格は、市場金利が上昇すると下落し、市場金利が低下すると上昇しますが、高クーポン(高金利)と低クーポン(低金利)の債券を比較した場合、低クーポン債券の方が、金利の変動に対する価格変動幅は大きくなります。
他の条件が同じなら、その債券価格はクーポンと市場金利の差によって決まります。例えば、クーポン1%と10%の債券では、当然10%の債券の方が価格が高いです。
ここで、1%の市場金利の変動があると、クーポン10%の債券には大した変動ではありませんが、1%の債券にとってはクーポン分と同じ変動のため、大きな値動きになってしまいます。
言い換えれば、低クーポン債券の方が、市場金利の金利変動幅がクーポンに占める割合が高く、価格変動幅も大きいといえます。
2.は、適切。公募で不特定多数の投資者が保有する、発行額が大きい債券は、市場で流通量が多く取引が成立しやすいため、流動性が高い=売りたいとき・買いたいときにすぐに売買できる=流動性リスクが低い、といえます。
3.は、適切。債券投資では、債券の発行体である政府・地方自治体・企業等の経営不安・財政難等によって、債務不履行=デフォルト(利払いや償還金の支払遅延・不能)となる可能性が高まることがあります。
この場合、その債券の市場での取引価格は下がりますが、額面上の利率は変わらないため、取引価格に対する利回りは上昇します。
4.は、適切。債券は、格付会社によって信用格付け(債務をきちんと履行してくれるかという信用度の目安)が付けられており、格付けAAA〜BBBは投資適格とされ、これより下のクラス(BB以下)は投機的、または投資不適格とされます。債券の信用格付けが引き上げられると、債券の価格は値上がりし、利回りは低下します。
反対に、債務不履行等によって信用格付けが引き下げられると、債券の価格は値下がりし、利回りは上昇します。
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