問59 2014年5月学科
問59 問題文択一問題
相続における死亡保険金の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれも死亡保険金は被相続人が契約者(=保険料負担者)および被保険者、相続人が受取人である生命保険から受け取ったものとする。
1.すべての相続人が受け取った死亡保険金の合計額のうち、「500万円×法定相続人の数」の算式で計算した金額までは、相続税の非課税財産とされる。
2.死亡保険金は、死亡保険金受取人の固有の財産となるため、特段の事情がない限り、相続人等による遺産分割協議の対象とならない。
3.被相続人の遺産の大半が事業用資産である場合、事業を承継する相続人を死亡保険金受取人としておくことで、その死亡保険金を他の相続人に交付する代償分割資金の原資とすることができる。
4.死亡保険金を受け取った被相続人の配偶者が相続の放棄をした場合、その配偶者は当該保険金に係る相続税額について「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることはできない。
問59 解答・解説
死亡保険金の相続税に関する問題です。
1.は、適切。生命保険の契約者と被保険者が同じで、保険金受取人が異なり、受取人が相続人となる場合、支払われる死亡保険金は、みなし相続財産として、相続税の課税対象となります。ただし、「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。
2.は、適切。死亡保険金は、民法上は亡くなった人の財産(遺産)ではなく、保険金受取人の固有の財産とされるため、民法上の相続財産に含まれず、遺産分割協議の対象となりません。
(ただし、みなし相続財産として、相続税の課税対象には含まれます。)
3.は、適切。遺産の大半が事業用資産である場合、遺産分割すると事業継続が難しくなりますが、死亡保険金受取人を後継者、被保険者を被相続人とする生命保険契約を締結しておくと、死亡保険金は、民法上は亡くなった人の財産(遺産)ではなく、保険金受取人の固有の財産とされるため、遺留分の対象とならず、全て代償金の支払いに充てることができます(民法上の相続財産に含まれず、遺産分割協議の対象とならない)。
4.は、不適切。配偶者が相続放棄した場合でも、配偶者が遺贈により財産を取得したときには、配偶者の相続税額軽減(相続税の配偶者控除)を適用可能です。
例えば、被相続人に借金があったので配偶者は相続放棄。しかし、被相続人が生前に自分に生命保険をかけ、受取人を配偶者にしていると、死亡保険金は相続財産ではなく、遺贈により取得した保険金受取人の固有の財産とされ、相続税の配偶者控除を適用可能となります。
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