問29 2014年1月学科

問29 問題文と解答・解説

問29 問題文択一問題

ポートフォリオ理論等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.A資産の期待収益率が2.5%、B資産の期待収益率が6.0%の場合、A資産を40%、B資産を60%の割合で組み入れたポートフォリオの期待収益率は4.6%となる。

2.異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数が0(ゼロ)の場合、ポートフォリオ効果は得られず、ポートフォリオのリスクは単純に投資割合で加重平均したものになる。

3.ポートフォリオの期待収益率が5%で標準偏差が10%の場合、おおむね3分の1の確率で、収益率がマイナス5%からプラス15%の範囲内となる。

4.標準偏差は異なるが収益率が同じ2つのファンドをシャープレシオで比較した場合、標準偏差の値が大きいファンドの方が効率よく運用されていたと評価することができる。

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問29 解答・解説

ポートフォリオ理論・期待収益率に関する問題です。

1.は、適切。ポートフォリオの期待収益率=(各資産の構成比×各資産の収益率)の合計 となります。
よって本問では、
資産A:構成比40%×期待収益率2.5%=40/100×2.5/100×100=1.00%
資産B:構成比60%×期待収益率6.0%=60/100×6.0/100×100=3.60%
従って、ポートフォリオの期待収益率=1.0%+3.60%=4.60% 
よってポートフォリオの期待収益率は、4.6%

2.は、不適切。ポートフォリオのリスクは、組入資産間の相関係数が1でない限り、組入資産のリスクの加重平均を下回り、組入資産間の相関係数が1のときはリスクの加重平均と等しくなります

相関係数が1=組入資産全てが正の相関=同じ値動き ですので、ポートフォリオを組んでもリスクは単に同じ値動きをする株を複数買ったのと同じで、分散投資の意味がありません。

相関係数が1より小さい=組入資産が無相関・負の相関=バラバラの値動き・逆の値動き となり、こういったポートフォリオを組むことで、単に加重平均した計算結果よりも全体としてリスクを抑えた投資を行うことが可能となります。

従って、相関係数が0(ゼロ)となる資産の組合せは、相関係数が正となる組み合わせよりもポートフォリオ効果は得られるものの、相関係数が負となる組合せと比べれば、リスク(標準偏差)の低減効果は小さいです。

3.は、不適切。ポートフォリオのリスク(標準偏差)の大きさに関わらず、ポートフォリオの収益率が当初の期待収益率を上回るか・下回るかの確率は同じ(正規分布)です。
理論上、収益率は約68%の確率で、「期待収益率(平均値)±標準偏差」の範囲内に収まり、約95%の確率で「期待収益率(平均値)±標準偏差×2」の範囲内に収まります。
従って、ポートフォリオの期待収益率が5%で標準偏差が10%の場合、約68%の確率で、マイナス5%〜プラス15%の範囲内となり、約95%の確率で、マイナス15%〜プラス25%の範囲内となります。

4.は、不適切。シャープ・レシオ=(ポートフォリオの収益率−安全資産利子率)÷標準偏差 ですが、
シャープ・レシオは、標準偏差で測ったリスク1単位に対して、超過収益率がどれだけあったかを示すものですから、値が大きいほど超過収益率が高い=優れた金融商品ということです。
従って、収益率が同じ2つのファンドをシャープ・レシオで比較すると、標準偏差が小さいファンドの方がシャープ・レシオの値が大きく、効率よく運用されていたと評価できます。

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