問8 2012年1月実技中小事業主資産相談業務
問8 問題文
X社の所要運転資金(経常運転資金)に関する次の(1)〜(3)の記述のうち,適切なものには○印を,不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
(1) X社の所要運転資金(経常運転資金)の金額は,120,000千円である。
(2) X社の販売用不動産の回転期間が2分の1になると,所要運転資金(経常運転資金)は増加する。
(3) X社の有価証券を売却しても,所要運転資金(経常運転資金)には影響しない。
問8 解答・解説
企業の所要運転資金に関する問題です。
所要運転資金とは常時必要な運転資金の目安で、銀行融資の審査で用いられます。その会社がどれくらいの運転資金を必要とする事業構造なのかを算出し、所要運転資金の水準を確認するわけです。所要運転資金の計算式は以下の通り。
所要運転資金=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産−仕入債務(支払手形+買掛金)
※割引手形がある場合は売上債権に加算
(1) は、×。X社の所要運転資金の計算過程は以下の通りです。
売上債権=売掛金49,570+受取手形12,330+割引手形2,800=64,700
棚卸資産=販売用不動産122,400
仕入債務=支払手形10,600+買掛金53,700=64,300
よって、所要運転資金=64,700+122,400−64,300=122,800千円 となります。
(2) は、×。所要運転資金の計算式は、以下の計算式でも表すことができます。
所要運転資金=(売掛債権回転期間+在庫回転期間−買掛債務回転期間)×平均月商
※売掛債権回転期間:売上発生から代金回収までの期間。
売掛債権回転期間=売上債権÷平均月商
※在庫(商品)回転期間:原材料・製品・商品の仕入れから販売までの期間。
在庫(商品)回転期間=棚卸資産÷平均月商
※買掛債務回転期間:原材料や商品の仕入れからその代金を支払うまでの期間。
買掛債務回転期間=支払債務÷平均月商
販売用不動産の回転期間=在庫回転期間ですので、在庫回転期間が2分の1になると、所要運転資金(経常運転資金)は減少します。
(仕入れた商品の在庫がどんどん売れるなら、運転資金は少なくて済むわけです。)
(3) は、○。所要運転資金は、仕入→在庫→売上(→仕入)…という経営サイクルを進めるために必要なお金を表すもので、有価証券を売却しても一時的に現金が増えるだけで、本業の事業構造が変わるわけではありません。
よって、有価証券の売却は、所要運転資金(経常運転資金)には影響しません。
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