問2 2011年9月実技生保顧客資産相談業務
問2 問題文
Mさんは,下記<条件>を基に,Aさんが受給できる公的年金制度からの老齢給付の年金見込額を試算した。Aさんの老齢給付の年金見込額を試算した下記の計算式の空欄(1)〜(3)に入る最も適切な数値を求めなさい。
<条件>
・AさんはX社を60歳で定年退職し,再就職しないものとする。
・厚生年金保険の被保険者期間等は,設例を参照すること。
・年金額は平成23年度価額(物価スライド特例措置による金額)に基づき求めること。
・計算過程の端数処理は,円未満を四捨五入し,年金額の端数処理は,50円未満を切り捨て,50円以上100円未満は100円に切り上げること。
・計算式にある「○○」・「□□□」の部分は,問題の性質上明らかにできないためにそれぞれ数値を伏せてある。
<Aさんの老齢給付の年金見込額>
1.Aさんが○○歳から受給できる報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の額
(320,000円×7.5/1000×□□□月+470,000円×5.769/1000×135月)×1.031×0.981
≒(
1
)円(100円未満の端数処理後の金額)
2.Aさんが65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の額
・老齢基礎年金の額
788,900円×480月/480月=788,900円
・老齢厚生年金の額
{□□□円+(1,676円×(
2
)月×0.981−788,900円×480月/480月)}+394,500円
≒□□□円(100円未満の端数処理後の金額)+394,500円
=(
3 )円
問2 解答・解説
老齢基礎年金・老齢厚生年金の支給額に関する問題です。
まず、Aさんが61歳から受給できる報酬比例部分の計算式は以下の通りです。
報酬比例部分=(平均標準報酬月額×乗率×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×乗率×平成15年4月以後の被保険者期間の月数)×1.031×0.981(注)
(注)平成22年度までは0.985 ⇒ 平成23年度は0.981に変更(物価スライド特例水準)
よって、Aさんが61歳から受給できる報酬比例部分の額は、
(320,000円×7.5/1000×360月+470,000円×5.769/1000×135月)×1.031×0.981
=(864000円+366,043円)×1.031×0.981 ← 円未満四捨五入
=1244078.9≒1,244,100円 ← 50円未満切捨て、50円以上100円未満切上げ
次に、65歳から受給できる老齢基礎年金の計算式は以下の通り。
老齢基礎年金=満額の基礎年金×(納付済月数+免除分調整月数)/(加入可能年数×12)
Aさんは昭和16年4月2日以降生まれですので、「加入可能年数」は40年です。
(昭和16年4月1日以前生まれの場合、加入可能年数は40年を下回ります。)
また、Aさんには免除分による調整はありませんが、老齢基礎年金の支給額にカウントされるのは、20歳以上60歳未満の加入期間ですから、厚生年金加入期間のうち、18歳〜19歳までの期間は除外します。(※除外された分が「経過的加算」として老齢厚生年金に加算されます。)
よって、納付済月数は、20歳から60歳になるまでの40年間×12月=480月 です。
以上により、Aさんの老齢基礎年金=788,900円×480月/(40年×12月)=788,900円 です。
さらに、65歳からは老齢厚生年金として、報酬比例部分に加えて「経過的加算額」と「加給年金394,500円(平成23年度価額)」が加算されます。
経過的加算額=定額部分−老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額
※定額部分=1,676円×被保険者月数×0.981
※老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額
=満額の基礎年金×(20歳以上60歳未満の被保険者月数(注))/(加入可能年数×12)
(注)
昭和36年4月以後の厚生年金
ただし、定額部分の年金は、生まれた年によって被保険者月数の上限が異なります。
・昭和 9年4月2日〜昭和19年4月1日生まれ……上限444月
・昭和19年4月2日〜昭和20年4月1日生まれ……上限456月
・昭和20年4月2日〜昭和21年4月1日生まれ……上限468月
・昭和21年4月2日以後生まれ…………………上限480月
Aさんの被保険者期間は、360月+135月=495月ですが、昭和29年生まれなので、上限480月として計算されます。
よって、定額部分=1,676円×被保険者月数480月×0.981=789,195円←円未満四捨五入
老齢基礎年金の厚生年金加入期間相当額=788,900円×480月/(40年×12)
=788,900円
従って、経過的加算額=789,195円−788,900円=295円
老齢厚生年金については、まずは報酬比例部分と経過的加算額を合計し、基本年金額を求めます。
老齢厚生年金の基本年金額=報酬比例部分+経過的加算
=1,244,100円+295円
=1,244,395円≒12,244,400円
(50円未満切捨て、50円以上100円未満切上げ)
よって、老齢厚生年金の支給額=基本年金額+加給年金額
=12,244,400円+394,500円
=1,638,900円
以上により正解は、(1) 1,244,100、(2) 480、(3)
1,638,900
※加給年金額を加算する前に、基本年金額を算出し、50円未満切捨て、50円以上100円未満切上げをするのがポイントです。
加給年金はオマケ的な存在なので、まずは報酬比例部分と経過的加算額を合計して基本年金額を出して切上げ・切捨てをするわけです。
こうしないと、奥さんを扶養しているというだけで、同じ掛け金を払った人よりも年金額が切り上げられたりしてしまうため、ちょっと不公平になってしまうのです。
(ただし、本問の数字では、全て合計してから切上げ・切捨てしても、年金額は変わりません。)
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