問15 2023年9月実技中小事業主資産相談業務

問15 問題文と解答・解説

問15 問題文

原則的評価方式によるX社株式の評価に関する次の記述(1)〜(4)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

(1)「X社の業績が回復し、類似業種比準価額算定上の1株当たりの利益金額がプラスの数値になる場合、X社株式の相続税評価額を引き下げる効果が期待できます」

(2)「X社が不動産を購入することにより、X社株式の相続税評価額を引き下げる効果が期待できますが、不動産取得後5年間は、通常の取引価額(時価)により評価するため、効果が現れるのは取得から5年経過後となります」

(3)「X社がAさんに対して役員退職金を支給することにより、X社株式の相続税評価額を引き下げる効果が期待できます」

(4)「X社が普通配当の支払を行うことにより、X社株式の相続税評価額を引き下げる効果が期待できます」

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問15 解答・解説

非上場株式の相続税評価方式と引下げ対策に関する問題です。

(1)は、○。類似業種比準方式では、配当・利益・純資産の3比準要素で評価しますが、比準要素のいずれか2つ以上がゼロである場合(比準要素数1の会社≒3期連続の赤字会社)、特定の評価会社の株式として純資産価額方式または類似業種×0.25+純資産×(1−0.25)で評価することになります(納税者が選択可能)。
通常であれば併用方式は類似業種比準方式の評価割合が高く算定されるはずが、特定の評価会社だと純資産価額方式の割合が高くなり、相続税評価額が高くなってしまうことから、業績を回復させて利益を出すか、配当を出すことで相続税評価額を引き下げることになるわけです。

(2)は、×。純資産価額を計算する場合、課税時期開始前3年以内に取得・新築した土地等家屋等は、課税時期における通常の取引価額相当額で評価します(通常は路線価や固定資産税評価額で評価)。よって不動産購入による相続税評価額の引下げ効果は、取得から3年経過後となるわけです。

(3)は、○。役員勇退時に生前退職金を支給した場合、会社の利益と純資産が減少しますから、類似業種比準価額と純資産価額の引き下げ効果があります(死亡退職金の場合は、純資産価額のみに引き下げ効果あり)。

(4)は、○。類似業種比準方式では、配当・利益・純資産の3比準要素で評価しますが、比準要素のいずれか2つ以上がゼロである場合(比準要素数1の会社≒3期連続の赤字会社)、特定の評価会社の株式として純資産価額方式または類似業種×0.25+純資産×(1−0.25)で評価することになります(納税者が選択可能)。
通常であれば併用方式は類似業種比準方式の評価割合が高く算定されるはずが、特定の評価会社だと純資産価額方式の割合が高くなり、相続税評価額が高くなってしまうことから、業績を回復させて利益を出すか、配当を出すことで相続税評価額を引き下げることになるわけです。

問14             目次

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