問60 2023年9月学科
問60 問題文択一問題
株式譲渡によるM&A等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問において、株式会社は非上場会社であるものとする。
1.M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、原則として、当該株式の譲渡による所得に対して、申告分離課税により所得税および住民税が課される。
2.M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、その収入金額は、原則として、取引当事者間の契約により決定された譲渡金額である。
3.株式会社は、あらかじめ定款に定めておくことにより、相続により当該株式会社の株式(譲渡制限株式)を取得した者に対して、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。
4.株式譲渡制限会社である株式会社においては、株主でなければ取締役に就任することはできない。
問60 解答・解説
会社法に関する問題です。
1.は、適切。個人が非上場株式を譲渡した場合、株式等の譲渡所得として20.315%(所得税(復興特別税を含む)15.315%、住民税5%)の申告分離課税の対象となります。
2.は、適切。株式の譲渡所得は「収入金額−取得費・譲渡費用」で計算されますが、M&Aによる株式譲渡の場合、収入金額は譲渡契約で決定された譲渡金額となります。
3.は、適切。譲渡制限株式は、会社の乗っ取りや株式の散逸を防止するために、他者に譲渡する際に発行会社の承認が必要な株式です。株式会社は、定款に定めることで相続等で移転した譲渡制限株式について、相続人に対して売渡を請求可能です。
4.は、不適切。株式譲渡制限株式会社とは、定款ですべての株式を譲渡制限している会社(非公開会社)です。株式譲渡制限会社では、定款に定めることで、取締役・監査役の資格を株主のみというように制限することが可能ですが、定款に定めが無ければ株主以外も取締役に就任可能です。
よって正解は、4.
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