問15 2021年5月実技個人資産相談業務

問15 問題文と解答・解説

問15 問題文

Aさんの相続等に関する次の記述(1)〜(3)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。

(1)「遺産分割をめぐる争いを防ぐ手段として、遺言の作成をお勧めします。法務局において、自筆証書遺言を保管する制度が始まっています。この制度を利用した場合、家庭裁判所の検認の手続は必要ありません」

(2)「遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Cさんが相続した場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額を6億円とした場合、長女Dさんの遺留分の額は1億5,000万円となります」

(3)「長男CさんがX社本社敷地を相続により取得し、当該敷地について、特定同族会社事業用宅地等に係る小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、当該敷地(相続税評価額6,000万円)について、相続税の課税価格に算入すべき価額を1,200万円とすることができます」

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問15 解答・解説

自筆証書遺言・遺留分・小規模宅地の特例に関する問題です。

(1)は、○。法務局に保管した自筆証書遺言は、公正証書遺言と同様に検認不要です。

(2)は、×。遺留分とは、相続人が最低限受け取れる財産で、被相続人の兄弟姉妹以外に認められるものです。
その割合は、相続人が直系尊属のみ場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1
よって本問の場合、長女Dさんの法定相続分は4分の1で、遺留分は8分の1となりますから、
遺留分の額は、6億円×1/8=7,500万円 です。

(3)は、×。小規模宅地の特例は、特定事業用・特定同族会社事業用は400uを上限に80%減額となります(事業継続の場合のみ)。
小規模宅地の特例による評価減額=自用地評価額×適用上限/敷地面積×減額割合
=6,000万円×400u/600u×80%=3,200万円

従って、特例適用後の評価額は、
評価額=相続税評価額−評価減額
   =6,000万円−3,200万円=2,800万円

なお、特定同族会社事業用宅地とは、発行済株式総数または出資金の50%超を親族が保有するといった、特定の同族会社の事業(不動産貸付業、駐車場業等を除く)用の宅地のことです(一族経営の中小零細企業の相続税負担軽減が狙い)。

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