問40 2021年3月学科
問40 問題文択一問題
会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.会社が所有する建物を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額が役員給与とされる。
2.役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合の賃貸料に相当する金額については、原則として、役員に対して所得税は課されない。
3.一時金で支払われる役員退職金の損金算入の時期は、原則として、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度となる。
4.役員が所有する建物を適正な時価の2分の1以上かつ時価未満の価額で会社に譲渡した場合、役員は、原則として、実際の譲渡価額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行う。
問40 解答・解説
法人と役員間の取引に関する問題です。
1.は、適切。法人は役員に、本当はもっと高いはずの資産を格安で売っちゃったわけです。
このような場合、法人側では時価で譲渡したものとされ、時価と売買価額の差額が役員給与として損金不算入となります。役員側では時価と売買価額との差額は、給与所得として課税されます。
2.は、不適切。役員は法人から、本来徴収される賃貸料無しに無償で貸与してもらえたわけです。従って、本来徴収されるはずの通常の賃貸料相当額が、給与所得として課税されます。
3.は、適切。会社が支払う役員退職金は、適正な額であれば、損金算入できますが、役員退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等により退職金額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。
つまり、実際の支払いが発生していない時点でも、株主総会で決議されていればその年度で損金算入できるわけです。また、実際に支払った年度で損金算入することも可能です。
なお、退職金を一時金ではなく年金形式で支払う場合、損金算入時期は年金を支給する事業年度ごとになるため、退職時に年金総額を未払金に計上しても、損金算入することはできません。
4.は、適切。法人は役員から、もっと高いはずの資産を安く入手したわけです。
このような場合、法人側では時価が取得価額となり、時価と売買価額の差額を受贈益として益金算入します。役員側では、売買価額が時価の2分の1以上の場合、実際の売買価額で譲渡所得が計算され、2分の1未満だと、差額がみなし譲渡所得として課税されます。
よって正解は、2.
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