問29 2021年3月学科
問29 問題文択一問題
ポートフォリオ運用に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.ポートフォリオの期待収益率は、ポートフォリオに組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均した値となる。
2.異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数が−1の場合、ポートフォリオを組成することによる分散投資の効果(リスクの軽減)は得られない。
3.同一期間の収益率がプラスで、かつその数値が同じである2つのファンドをシャープレシオで比較した場合、収益率の標準偏差の値が小さいファンドの方が効率よく運用されていたと評価することができる。
4.国内株式のポートフォリオにおいて、システマティック・リスクは、ポートフォリオの組入れ銘柄数を増やしても低減しない。
問29 解答・解説
ポートフォリオ理論に関する問題です。
1.は、適切。ポートフォリオの期待収益率=(各資産の期待収益率×組入比率)の総和 です。
つまり、各資産の期待収益率の単純な平均ではなく、ポートフォリオの期待収益率は、各資産の期待収益率に投資している割合(組入比率)を加味して平均(加重平均)した値となります。
2.は、不適切。ポートフォリオのリスクは、組入資産間の相関係数が1でない限り、組入資産のリスクの加重平均を下回り、組入資産間の相関係数が1のときはリスクの加重平均と等しくなります。
相関係数が1=組入資産全てが正の相関=同じ値動き ですので、ポートフォリオを組んでもリスクは単に同じ値動きをする株を複数買ったのと同じで、分散投資の意味がありません。
相関係数が1より小さい=組入資産が無相関・負の相関=バラバラの値動き・逆の値動き となり、こういったポートフォリオを組むことで、単に加重平均した計算結果よりも全体としてリスクを抑えた投資を行うことが可能となります。
従って、相関係数が−1となる資産の組合せは、相関係数が正やゼロとなる組み合わせよりも、ポートフォリオによるリスク(標準偏差)の低減効果を得ることができます。
3.は、適切。シャープ・レシオ=(ポートフォリオの収益率−安全資産利子率)÷標準偏差 ですが、
シャープ・レシオは、標準偏差で測ったリスク1単位に対して、超過収益率がどれだけあったかを示すものですから、値が大きいほど超過収益率が高い=優れた金融商品ということです。
従って、収益率が同じ2つのファンドをシャープ・レシオで比較すると、標準偏差が小さいファンドの方がシャープ・レシオの値が大きく、効率よく運用されていたと評価できます。
4.は、適切。ポートフォリオの組入れ銘柄数を増やすと、個別銘柄による株価変動がポートフォリオ全体に与える影響は小さくなるため、アンシステマティックリスク(非市場リスク)は低減可能ですが、システマティックリスク(市場リスク)は低減できません。システマティックリスク(市場リスク)は、ほぼ全ての証券に影響を及ぼすような価格変動要因ですので、分散投資でも低減できないわけです。
よって正解は、2.
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