問7 2020年9月実技中小事業主資産相談業務
問7 問題文
《設例》の貸借対照表および損益計算書に基づき、X社の各種経営指標等に関する次の記述(1)〜(3)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は、表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。
(1)X社の所要運転資金は760万円であり、同社の売上債権が10%減少すると所要運転資金は334万円増加する。
(2)X社の純資産と自己資本を同額とした場合、同社の流動比率は110.13%であり、固定長期適合率は90.53%である。
(3)X社の営業外収益をすべて金融収益、営業外費用をすべて金融費用とした場合、同社のインタレスト・カバレッジ・レシオは9.33倍である。
問7 解答・解説
企業の財務の安全性を示す指標に関する問題です。
(1)は、×。所要運転資金とは常時必要な運転資金の目安で、銀行融資の審査で用いられます。その会社がどれくらいの運転資金を必要とする事業構造なのかを算出し、所要運転資金の水準を確認するわけです。所要運転資金の計算式は以下の通り。
所要運転資金=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産−仕入債務(支払手形+買掛金)
※割引手形がある場合は売上債権に加算
X社の所要運転資金の計算過程は以下の通りです。
売上債権=3,340+70=3,410
棚卸資産=3,090
仕入債務=買入債務7,260
よって、所要運転資金=3,410+3,090−7,260=▲760万円 となります。
ここで、売上債権が10%減少した場合、計算式に当てはめると、
所要運転資金=3,410×90%+3,090−7,260=▲1,101万円 となりますので、
当初の所要運転資金▲760万円と比較すると、
所要運転資金は、▲760万円−▲1,101万円=341万円減少する ことになります。
※通常では所要運転資金はプラスであり、支払と入金の時間的なタイミングの差を乗り切るために必要な金額を示しますが、支払よりも入金のタイミングが早く、支払資金に困らない状態では、所要運転資金はマイナスとなります。また、未回収の商品代金等の売上債権の減少は、債権回収率の上昇を意味するため、所要運転資金は減少し資金繰りの改善につながります。
(2)は、○。流動比率=流動資産÷流動負債×100(%)で、流動負債(1年以内に返済すべき負債)に対する流動資産(短期間で換金可能な資産)の割合を示しているため、流動比率が高いほど、その企業の財務の安全性が高いといえます。
X社の流動比率=流動資産11,740÷流動負債10,660×100(%)≒110.13%
また、固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+自己資本)×100(%)で、固定資産に投資した資金が長期資金でどれだけまかなわれているかを示しているため、100%を超えていると、短期資金の一部を固定資産の購入に回していることになり、資金繰りが良くないことを示します。
貸借対照表上では、自己資本= 純資産合計ですから、
X社の固定長期適合率=固定資産10,330÷(固定負債6,000+自己資本5,410)×100
≒90.53%
(3)は、×。インタレスト・カバレッジ・レシオとは、借入金に対する企業の利息支払い能力を示す指標で、これが高ければ、安心して融資できるってことで、銀行等の金融機関が融資の際に参考とする指標でもあります。
インタレスト・カバレッジ・レシオ=事業利益÷金融費用
※事業利益=営業利益+営業外利益(受取利息・配当金)
※金融費用=営業外費用(支払利息・割引料)
では、問題文の数値を式に当てはめてみましょう。
事業利益=1,980+190=2,170、金融費用=210
よって、]社のインタレスト・カバレッジ・レシオ=2,170÷210≒10.33倍 です。
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