問12 2020年1月実技中小事業主資産相談業務
問12 問題文
「特定の資産の買換えの場合の課税の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述(1)〜(4)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。なお、譲渡資産および買換資産はいずれも土地であり、地域再生法に規定する一定の地域・集中地域以外の地域内に所在しているものとする。
(1)譲渡資産および買換資産がいずれも土地である場合、原則として、買い換えた土地のうち、譲渡した土地の面積の3倍を超える部分は買換資産とはならない。
(2)長期所有資産の買換え(いわゆる7号買換え)の場合、譲渡した土地の所有期間が譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければならない。
(3)長期所有資産の買換え(いわゆる7号買換え)の場合、買い換えた土地の面積が300u以上でなければならない。
(4)仮に、同一事業年度内に土地を買い換え、譲渡資産の譲渡対価の額が3億円、買換資産の取得価額が2億円、譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額が8,000万円、譲渡に要した費用の額が1,000万円である場合、本特例の適用を受けることによる圧縮限度額は1億1,200万円となる。
問12 解答・解説
圧縮記帳の特例(特定の資産の買換え特例)に関する問題です。
(1)は、×。圧縮記帳の特例(特定資産の買換え特例)は、買換資産の取得価額よりも譲渡資産の譲渡価額の方が多い場合、譲渡益の一定限度額までを圧縮記帳し、課税を繰り延べられる特例です。
ただし、譲渡資産・買換資産がともに土地の場合、特例の適用対象は、買い換えた土地のうち、譲渡した土地の面積の5倍までであり、5倍を超える部分は買換資産となりません。
(2)は、○。圧縮記帳の特例における、長期保有資産の買換え(7号買換え(旧9号買換え))の適用対象となる譲渡資産は、国内の土地等・建物・構築物(取得日からの所有期間が10年を超えるもの)です。
(3)は、○。圧縮記帳の特例における、長期保有資産の買換え(7号買換え(旧9号買換え))の適用対象となる買換資産は、国内の土地等(面積300u以上)・建物・構築物又は機械及び装置などです。
(4)は、○。圧縮限度額の計算式は以下の通りです。
圧縮限度額=圧縮基礎取得価額×差益割合×80/100
注1)「圧縮基礎取得価額」とは、買換資産の取得価額か、譲渡資産の譲渡価額のうち、額の少ない方です。
注2)「差益割合」は、差益割合={譲渡価額−(譲渡資産の帳簿価額+譲渡費用)}÷譲渡価額 で計算します(つまり譲渡資産を売って儲かった分の金額が、売った額のどれくらいの割合を占めているかってことですね)。
よって本問の場合、買換資産の取得価額2億円<譲渡資産の譲渡価額3億円ですので、圧縮基礎取得価額=2億円です。
また、差益割合={3億円−(8,000万円+1,000万円)}÷3億円=0.7
従って、圧縮限度額=2億円×0.7×80/100=1億1,200万円
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