問60 2019年9月学科
問60 問題文択一問題
非上場企業の事業承継対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。
2.自社株式の評価額を引き下げるためには、積極的な費用計上を行って利益を圧縮することや、新規取引先に対する金銭債権のうち回収可能性があるものについても債権放棄により貸倒損失を計上することなどが望ましい。
3.オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、その経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。
4.「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の対象となる非上場株式は、後継者が受贈前にすでに有していた非上場株式を含めて、発行済議決権株式総数の2分の1に達するまでの部分に限られる。
問60 解答・解説
非上場会社の事業承継対策に関する問題です。
1.は、適切。役員給与を増額すると、将来相続人となる後継者の現金が増えるため、贈与税・相続税の支払い能力(担税力)を上げ、代償分割や自社株式の買い取り時の資金負担を軽減することができます。
2.は、不適切。自社株の評価額が高額だった場合には、評価額を引き下げるために、役員退職金の支給等の積極的な費用計上による利益の圧縮や、記念配当・特別配当への切り替えといった対策を行うことで、結果的に相続税の負担軽減を図ることができますが、資産状況・支払能力等からみて、回収可能性があるものについては債権放棄による貸倒損失の計上は認められません。
3.は、不適切。オーナー経営者が死亡したときの相続税負担を軽減するには、オーナー経営者の自社株式の大半を、生前に後継者に移転することが望ましいです。
自社株式の大半を第三者に移転すると、会社の経営権を握られてしまいます。
4.は、不適切。平成30年度税制改正により、非上場株式の贈与税の納税猶予・免除の特例は、適用対象の株式数の上限が撤廃され全株式が適用対象となっています(以前は後継者が贈与前から保有していたものを含めて発行済議決権株式の3分の2までが上限でした)。
よって正解は、1.
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