問17 2016年1月学科
問17 問題文択一問題
契約者(=保険料負担者)を法人とする損害保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.被保険者がすべての役員・従業員、保険金受取人が被保険者またはその遺族である普通傷害保険について、3年分の保険料を一括で支払った場合、その全額を支払った事業年度の損金に算入する。
2.法人が所有する自動車で従業員が業務中に起こした対人事故により、その相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金に関して経理処理する必要はない。
3.法人が積立傷害保険の満期返戻金を受け取った場合、満期返戻金は益金に計上し、同時に満期時点で資産に計上されている積立保険料は損金に算入する。
4.法人が所有する建物が火災で焼失し、受け取った火災保険金で同一事業年度内に代替の建物を取得した場合、所定の要件に基づき圧縮記帳が認められる。
問17 解答・解説
法人の損害保険の経理処理に関する問題です。
1.は、不適切。被保険者=全従業員(役員含む)、保険金受取人=役員・従業員またはその遺族、とする損害保険では、支払った保険料は、期間の経過に応じて福利厚生費として損金算入します。よって、複数年分の保険料を前納(まとめて先払い)した場合、損金算入できるのは向こう1年分の保険料までです。
2.は、適切。従業員による業務中の自動車事故で、保険会社から直接相手方に保険金が支払われた場合、法人は保険金を受け取らないため経理処理は不要です。
3.は、適切。積立傷害保険等の積立型の損害保険の場合、支払保険料のうち積立部分は満期・解約時までは資産計上し、満期時に受け取った満期返戻金と契約者配当金の全額を益金に算入し、資産計上していた積立保険料の累計額は損金に算入します。
4.は、適切。圧縮記帳の対象は、固定資産の滅失・損壊に対して保険金を受け取り、同一事業年度内に代替資産を取得した場合です。
圧縮記帳することで、受け取った保険金への課税を将来に繰り延べることができます。
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