問60 2015年9月学科

問60 問題文と解答・解説

問60 問題文択一問題

中小企業における円滑な事業承継のための方策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.事業承継対策については、オーナー経営者の相続が発生してからでは取り得る対策が限られてしまうため、長期的な視野に立って早い時期から検討することが望ましい。

2.後継者の選定方針を明確にし、後継者候補を社内外に周知するとともに、後継者の十分な育成を早期に図ることが望ましい。

3.オーナー経営者が死亡したときの相続税額の負担を軽減するため、オーナー経営者が保有する自社株式の大半を経営に関与しない第三者に生前に移転しておくことが望ましい。

4.オーナー経営者が保有する自社株式を役員である後継者が取得する際の後継者の資金負担が心配される場合、あらかじめ、後継者の役員報酬を増やす等により相当の金融資産を確保しておく方策が考えられる。

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問60 解答・解説

非上場会社の事業承継対策に関する問題です。

1.は、適切。遺言や生命保険の加入、各種事業承継税制の活用等の、有効な事業承継対策は、オーナー経営者の相続発生前に行うことが前提ですから、長期的な視野で早い時期から準備することが重要です。

2.は、適切。円滑・確実な事業承継のためには、後継者の十分な育成は当然のこと、後継者を早期に決定し社内外に周知しておくことが重要です(取引先や金融機関との信頼関係構築のため、社外も必要)。
相続発生後に突如遺言で後継者を指名したりすると、遺産相続争いが発生してしまいますからね。

3.は、不適切。オーナー経営者が死亡したときの相続税負担を軽減するには、オーナー経営者の自社株式の大半を、生前に後継者に移転することが望ましいです。
自社株式の大半を第三者に移転すると、会社の経営権を握られてしまいます。

4.は、適切。役員給与を増額すると、将来相続人となる後継者の現金が増えるため、贈与税・相続税の支払い能力(担税力)を上げ、代償分割や自社株式の買い取り時の資金負担を軽減することができます。

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