問9 2015年5月実技生保顧客資産相談業務
問9 問題文
長男Bさんは,契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人をX社,被保険者を長男Bさんとする生命保険への加入を検討している。Mさんが,長男Bさんに対してアドバイスした次の記述(1)〜(3)について,適切なものには○印を,不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
(1) 「Bさんの役員退任時の退職金の支払に備えて終身保険に加入し,Bさんの退任時に,契約者をBさん,死亡保険金受取人をBさんの配偶者に名義変更することで,当該生命保険契約を退職金の一部として現物支給することができます」
(2) 「Bさんの死亡退職金や役員退任時の退職金の支払に備えて長期平準定期保険に加入した後,当該生命保険を払済終身保険に変更した場合,変更時点における資産計上額と解約返戻金相当額との差額を雑収入もしくは雑損失として経理処理することになります」
(3) 「Bさんが亡くなった場合のX社の事業保障資金の確保に備えて保険期間10年の定期保険に加入し,保険料を全期前納した場合,その保険料は,支払った年度において,全額がX社の損金の額に算入することになります」
問9 解答・解説
法人の生命保険の経理処理に関する問題です。
(1) は、○。法人が役員や従業員にかけた生命保険は、受取人を役員・従業員本人やその遺族に名義変更し、退職金の一部として現物支給可能です。
この場合、支給時点での解約返戻金相当額が退職収入とみなされ、他の退職手当等と合算して、退職所得額が計算されます。
(2) は、○。長期平準定期保険を払済終身保険へ変更する場合、解約返戻金相当額は保険料積立金として資産計上し、変更時点での資産計上額については前払保険料として資産計上します。また、変更時点の資産計上額と解約返戻金相当額との差額については、雑収入(または雑損失)として計上します。
(3) は、×。会社が契約者として保険料を負担し、役員・従業員を被保険者とする定期保険に加入すると、保険料は期間の経過に応じて損金の額に算入します。
よって、10年分の定期保険料を一括支払いした場合、支払った年度で損金算入できるのは、その年度分だけです。
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