問39 2022年5月学科
問39 問題文択一問題
会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.役員が所有する土地を会社に譲渡した場合、その譲渡価額が適正な時価の2分の1未満であるときは、適正な時価により譲渡所得の金額が計算される。
2.役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額に算入される。
3.会社が所有する建物を適正な時価よりも高い価額で役員に譲渡した場合、その会社の所得の金額の計算上、適正な時価と譲渡対価の差額は、益金の額に算入される。
4.会社が役員に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、その会社の所得の金額の計算上、適正な利率により計算した利息相当額が益金の額に算入される。
問39 解答・解説
法人と役員間の取引に関する問題です。
1.は、適切。法人は役員から、もっと高いはずの資産を安く買い入れたわけです。
このような場合、法人側では時価が取得価額となり、時価と売買価額の差額が受贈益として取り扱われます。役員側では、売買価額が時価の2分の1以上の場合、実際の売買価額で譲渡所得が計算され、2分の1未満だと、適正な時価相当額で譲渡したものとみなされ、差額がみなし譲渡所得として課税されます。
2.は、不適切。会社は借金をしているのですから、本来一定の利子を支払う必要がありますが、役員が無利子で貸してくれたわけです。このような場合、役員側では本来受け取れる利子額について、課税されません。
個人である役員は、必ずしも営利だけを目的に行動するとは限らないため、無利子で自社や他社(例:親戚や友人の会社等)に自分のお金を貸すことがあり得ます。
このため無利子での貸付でも課税はされません。
3.は、適切。法人は役員に、もっと安いはずの資産を高く売ったわけです。このような場合、法人側では時価で譲渡したものとされ、時価と売買価額の差額が受贈益として益金算入されます。役員側では、差額が法人への寄付金として取り扱われます(寄附金控除の対象外)。
4.は、適切。法人は本来営利追及組織ですから、自社の役員とはいえ、企業自身のお金を無利子で貸すことはあり得ない、という考え方から、法人側では受取利息の認定が行われて益金算入され、役員側では享受した経済的利益(払わなくてよかった利子分)が給与所得として課税されます。
よって正解は、2.
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