問56 2018年5月学科
問56 問題文択一問題
相続税の計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.相続人が相続の放棄をした場合、その放棄をした者についても、「法定相続人の数」に含めて、相続税の計算における遺産に係る基礎控除額を計算する。
2.相続人となるべき被相続人の子がすでに死亡しているため、その死亡した子を代襲して相続人となった被相続人の孫は、相続税額の2割加算の対象者となる。
3.相続開始時の相続人が被相続人の配偶者のみで、その配偶者がすべての遺産を取得した場合、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受ければ、相続により取得した財産額の多寡にかかわらず、配偶者が納付すべき相続税額は生じない。
4.「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることができる配偶者は、被相続人と法律上の婚姻の届出をした者に限られる。
問56 解答・解説
相続税の配偶者控除(配偶者に対する相続税額の軽減)等に関する問題です。
1.は、適切。法定相続人は相続放棄があっても、基礎控除の計算上「相続放棄はなかったもの」として扱われます。
2.は、不適切。子が生存していて孫を養子にすると、法定相続人が1人増えますので、相続税の基礎控除額は増えますが、被相続人の直系卑属がその被相続人の養子となっている場合は、相続税の2割相当額加算の対象です(孫養子といわれます)。
ただし、被相続続人の子が相続開始前に死亡していたり、相続権を失ったりしたために、孫養子が代襲相続している場合には、相続税額の2割加算の対象となりません。
つまり、子が生きてるときの孫養子は相続税対策の意味合いが強いから2割加算するけど、子が死んでいるなら元々代襲相続するんだし、2割加算はしないよ!ってことですね。
3.は、適切。「配偶者に対する相続税額の軽減(相続税の配偶者控除)」は、被相続人の配偶者が財産を取得した場合に、法定相続分相当額、または1億6,000万円のいずれか高い方までは、相続税がゼロになる特例ですので、相続人が配偶者のみですべての遺産を相続する場合には、遺産の額にかかわらず、相続税は発生しません(相続人が1人だけのとき、法定相続分は1/1=つまり全遺産となるため)。
4.は、適切。配偶者の相続税額軽減(相続税の配偶者控除)の対象となる配偶者は、被相続人と婚姻届を提出していた者だけで、内縁関係にあった妻や愛人は含まれません。
よって、事実婚の人などはこうした優遇措置が受けられないわけです。
よって正解は、2.
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