問7 2016年9月実技中小事業主資産相談業務

問7 問題文と解答・解説

問7 問題文

《設例》の貸借対照表および損益計算書に基づき、X社の各種経営指標等に関する
次の記述(1)〜(3)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

(1)X社の所要運転資金は23,500千円であり、X社の売上高が4%増加すると所要運転資金は940千円増加する。

(2)X社の流動比率は約129.07%、当座比率は約120.04%であり、いずれも100%を上回っているため、短期の支払能力に対する懸念は少ないと判断することができる。

(3)X社の固定比率は約53.78%、固定長期適合率は約83.79%であり、いずれも100%を下回っているため、長期の支払能力に対する懸念は少ないと判断することができる。

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問7 解答・解説

企業の財務の安全性を示す指標に関する問題です。

(1)は、×。所要運転資金とは常時必要な運転資金の目安で、銀行融資の審査で用いられます。その会社がどれくらいの運転資金を必要とする事業構造なのかを算出し、所要運転資金の水準を確認するわけです。所要運転資金の計算式は以下の通り。
所要運転資金=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産−仕入債務(支払手形+買掛金)
割引手形がある場合は売上債権に加算

X社の所要運転資金の計算過程は以下の通りです。
売上債権=57,200+22,800=80,000
棚卸資産=39,800
仕入債務=買入債務73,500
よって、所要運転資金=80,000+39,800−73,500=46,300千円 となります。

ここで、所要運転資金を構成する、売上債権(未回収の商品代金)・棚卸資産(在庫)・仕入債務(未払いの仕入代金)は売上高に比例するため、売上高が4%増加した場合、所要運転資金も4%増加します。
よって、増大所要運転資金額=46,300×1.04−46,300=1,852千円 となり、所要運転資金額は1,852千円増加することになります。

(2)は、×。流動比率=流動資産÷流動負債×100(%)で、流動負債(1年以内に返済すべき負債)に対する流動資産(短期間で換金可能な資産)の割合を示しているため、流動比率が高いほど、その企業の財務の安全性が高いといえます。
X社の流動比率=流動資産130,100÷流動負債100,800×100(%)≒129%
また、当座比率=当座資産÷流動負債×100(%)で、短期の支払能力を判断する指標であり、当座比率が高いほど短期的な支払能力が高く望ましい状態といえます。
当座資産とは現金化の早い資産のことで、その内訳は、 現金・預金、受取手形、売掛金、有価証券等です(現金化しにくい棚卸資産(商品)は含みません。)。
X社の当座比率=当座資産(24,000+57,200+9,100)÷100,800×100(%)≒89.58%
よって、当座比率が100%を下回っており、短期の支払能力にやや懸念がある状態です。

(3)は、×。固定比率=固定資産÷自己資本×100(%)で、設備投資等の固定資産への投資が、自己資本でどの程度賄われているかを判断する指標です。
このうち、自己資本は純資産から非支配株主持分(少数株主持分、被支配株主持分)と新株予約権を差し引いたものですが、本問では非支配株主持分や新株予約権の記載がないため、単純に貸借対照表の値を当てはめて計算します。
固定比率が低い方が、借金をあまりしないで投資できているということですので、望ましい状態といえます(固定比率100%を超えると他人資本に依存)。
X社の固定比率=固定資産151,400÷純資産100,700×100(%)≒150%

また、固定長期適合率=固定資産÷(固定負債+自己資本)×100(%)で、固定資産に投資した資金が長期資金でどれだけまかなわれているかを示しているため、100%を超えていると、短期資金の一部を固定資産の購入に回していることになり、資金繰りが良くないことを示します。
貸借対照表上では、自己資本= 純資産合計ですから、
X社の固定長期適合率=固定資産151,400÷(固定負債80,000+自己資本100,700)×100
          ≒83.79%

従って、長期の支払能力に対する懸念は少ないものの、固定資産への投資が他人資本に依存している懸念があると判断できます。

第3問             問8

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