問7 2015年1月実技中小事業主資産相談業務
問7 問題文
《設例》の貸借対照表および損益計算書から分析したX社の各種指標に関する次の記述(1)〜(3)について,適切なものには○印を,不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。なお,解答にあたっては,以下の〈資料〉を参照すること。
〈資料〉X社と同業種の黒字企業の平均値
・総資本経常利益率 7.4%
・総資本回転率 1.3回
・売上高総利益率 23.1%
・流動比率 158.1%
・当座比率 30.4%
(1) X社の総資本経常利益率は約12.5%,総資本回転率は約1.6回であり,黒字企業の業界平均と比較して収益性や資本効率は問題ないと判断できる。
(2) X社の売上高総利益率は約33.3%であり,黒字企業の業界平均を大きく上回っているため,売上高総利益率から見た収益性は問題ないと判断できる。
(3) X社の流動比率は約188.5%,当座比率は約175.4%であり,短期の支払能力に対する懸念は少ないと判断できる。
問7 解答・解説
企業の財務指標に関する問題です。
(1) は、×。経常利益に対する資本効率を示す指標は、総資産(総資本)経常利益率で、ROA(使用総資本事業利益率)の代用指標としても用いられます。
計算式は、総資産経常利益率=経常利益÷総資産×100(%)です。
また、総資本回転率は、総資本をどれだけ効率的に使っているかを示すもので、総資本が売上高によって何回新しいものになるか、を回転数で表します。
計算式は、総資本回転率=売上高÷総資本です。
X社の総資産経常利益率=36,200÷290,500×100≒12.46%
X社の総資本回転率=315,000÷290,500≒1.08
となり、総資本経常利益率は問題文の通りですが、総資本回転率はやや業界平均を下回っています。
(2) は、○。売上高総利益率とは、販売商品の利益率を表す指標で、粗利益率とも言われます。
計算式は、売上高総利益率=売上高総利益÷売上高×100(%)
=(売上高−売上原価)÷売上高×100(%)
X社の売上高総利益率=105,000/315,000×100≒33.3%
となり、業界平均を大きく上回っているため、収益性は問題ないと判断できます。
(3) は、×。当座比率=当座資産÷流動負債×100(%)で、短期の支払能力を判断する指標で、当座比率が高いほど短期的な支払能力が高く望ましい状態といえます。
当座資産とは現金化の早い資産のことで、 現金・預金、受取手形、売掛金、有価証券等です。
それに対し、流動比率=流動資産÷流動負債×100(%)で、流動負債(1年以内に返済すべき負債)に対する流動資産(短期間で換金可能な資産)の割合を示しているため、流動比率が高いほど、その企業の財務の安全性が高いといえます。
流動資産には当座資産に加えて、製品・原材料・仕掛品等の棚卸資産、前渡金・前払金・短期貸付金等のその他流動資産があります。
X社の場合、
流動比率=116,500÷61,800×100≒188.51%
当座比率=(116,500−16,000−8,100)÷61,800×100≒149.51% です。
よって、業界平均を大きく上回っているため、短期の支払能力に対する懸念は少ないと判断できます。
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